吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ6)

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第百話:店内騒動ページ6

「生きてたのか。コックにして船長の無類の海賊」
「生きてたらどうだってんだ、てめぇには関係ねえことだ」

思っていたよりも情報は枯渇しているらしい。赫足のゼフと聞けばある程度の者ならば聞いた事があるだろう。それこそ情報通な海賊や、情報屋ならば。そうではなかった。恐らくこのクリークは情報屋は捕まえていないのだろう。本当に武力集団のようだ。

「＿＿＿そしておれは再び海賊艦隊を組み、再び大海賊時代の頂点に立つのだ」

「ちょっと待て！海賊王になるのは俺だ！」
「んふふふ、ふ、あはは」

嘲笑ではない、ルフィの期待通りの行動にAは腹を抱えて笑った。宙に浮かんで身を丸めながら笑う姿は異質だろう。船内のコックたちがルフィとAを交互に見る。

「おい、引っ込んでろ雑用！そこも笑ってんなッ」
「引けないねぇここだけは」

ルフィはクリークに怯える様子もなく、堂々と啖呵を切る。ルフィに恐怖心はある。されど怯えないのは無謀で、馬鹿で、強いからだ。もし仮に戦闘面で知恵がある男ならば的には回したくないと思えるような子。

「舐めるな小僧！情報こそなかったにせよ兵力五千の艦隊がたったの七日で壊滅する魔海だぞ！」
「七日、だけね」
「てめぇもさっきからうるせえんだよ餓鬼が......その翼、吸血鬼か」
「あら吸血鬼をご存知？」
「......」

ギッと睨みつけてくるクリークをAは微笑んで躱す。
しかし、ルフィにすぐに視線を戻す。此方には興味を示さないというよりかは関わりたくないと言っているようだった。

「＿＿＿戦闘かよルフィ手を貸そうか」
「むむむりにとはいわねぇがな」
「坊や！」
「ゾロ!ウソップ、来たのかお前ら。いいよ貸さなくて」

ふよふよとAが羽を動かしながら現れた二人の元へ近づく。手すりに足を乗せ、ウソップの隣に立った。
物凄く震えているウソップの頭を撫でる為にしゃがみこみ、ヨシヨシと黒い頭を撫でる。弱虫だけれど仲間の元に来るあたり、強い子だ。

「よしよし、ウソップの坊や落ち着きなさい」
「い、いざと言う時は加勢してやっかな、が、頑張れよっうわぁ」
「あらら」
「なにしやがんだゾロ」
「うるせぇお前は黙ってろ」
「あらあらまあまあ」

ゾロがウソップを転がし、後ろに倒れる。怪我はないようなので心配する必要も無いだろう。Aは手すりに座ってルフィたちの方に顔を向けた。