吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ5)

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第九十九話:冷静さは欠かさないページ5

「悲惨ねぇ」

椅子に座り、足を組んだAはそんな台詞を呟いた。阿鼻叫喚とは正にこの事だろう。客は店から飛び出し、サンジは吹っ飛ばされ、ギンは床に伏せている。全ての元凶は首領・クリーク。

クリーク海賊団の船長だ。

彼の要求は食糧だ。部下たち約百人分。グランドラインから帰ってきた彼らは恐らくどこかに停泊することも無くこの船へと乗り込んできたのだろう。

「気配の無い船、グランドラインからの帰省......イーストブルー最強と言われる海賊団が何を理由に」

ふむ、と考え込む間にもバラティエ内部は荒れていた。我関せずの姿勢を崩さないAは男の話に耳を傾ける。なんとも海賊らしい男だと思った。

「誰も俺に逆らうなッ」

そう語る男の言葉がどこか虚勢に聴こえたのは、Aの気のせいではないのだろう。プライドを折られるような体験があったのかもしれない。

「おら100食分はあるはずだ。とっとと持ってけ」

今まで姿を見せなかったオーナーゼフが店内に現れる。片手には大きな袋が掴まれており、その中身にAは思わず笑ってしまった。

「ふふ、ん、ふ、流石と言うべきかなんなのか」
「オーナーゼフ......」

しかし予想にクリークは顔を青くし、声をふるわせた。

「ゼフ、だと」