吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ35)

今日:8 hit、昨日:41 hit、合計:18,760 hit

第百二十七話:拒絶ページ35

「ナミ嬢！」

風車の男と、怪我をしている女性を抱えるナミ。荒れたみかん畑に何が起こったか嫌でもすぐに理解出来た。

「......ッ遅かったわ」

地面に着地すると、風車の男が目を見開いた様子でAを見た。

「ナミ嬢、この子の怪我は」
「A...」
「銃弾ね、取り出さないと後遺症が残るわ。それよりも先に止血をしましょう」

微かに残った火薬の匂いに頭が痛くなる。ヘルメッポの父親も、フルボディも、ネズミ男も一緒だ。上下関係が厳しい組織は腐りやすい。

「日傘をお願い」
「あ、ああわかった」
「それにしても一般市民にまで手を出すなんてどういうつもりかしらね......風車の坊や」
「わ、わしか」
「医者は？」
「村にいる」
「なら早く連れていきましょう。最悪腕が動かなくなることも」
「ノジコに触らないでッ」

手を叩かれる。今日でたたかれたのは何度目だろうか、と冷静な脳味噌が考える一方で、Aは動揺していた。

「......ごめんなさい。これ救急セットよ」

風車の男に渡し、Aは立ち上がった。一等荒らされているみかん畑の部分に近づけば、穴がほかよりも大きくなっている部分がある。恐らくここに金を隠していたのだろう。

「......如何なる時も冷静に対処するのよA」

胸の十字架を握り締める手に力が籠る。けれども決して割れることの無い十字架が、何よりも冷静にさせてくれた。

「どう、動くのが最善策かしらね」