第百二十五話:仲間の悲劇 ページ33
「......あら海軍？」
村の海岸沿いには海軍の船があった。村人らしき人達と対話している。
「よっと」
「うわッ」
「ぎゃぁああ！？」
二人の間に降りる。風車をつけた男とネズミのような顔をした男は、悲鳴をあげた。失礼な男達だ。
「そ、空から落ちてき、え」
「失礼しちゃうわ。そんなに驚くなんてレディに対して失礼ではなくて」
「ひ」
尻もちをついた男の前でしゃがみこむ。やはりネズミみたいな顔をした男だ。信用ならなそうである。
「アーロンパークはこちらではなくってよ、海軍さん」
「......アーロンの一味の女であるナミの家に用がある」
「家？なぜナミ嬢ではなく家なのかしら」
「貴様に関係はなかろう、どけって痛ッ」
「人を叩くなんて礼儀がなってないわね。まだコビーの坊やの方がマシよ」
「貴様！」
「フンッ、海軍なんてどこもかしこも腐ってるのね、つまらないわ」
ネズミの海軍は肩をプルプルと震わせた。髭が上下に揺れている。
「......ふん、貴様などに用はない。ナミの家にさっさと案内しろ」
「......」
風車の男はAに視線を向けてくる。戸惑った様な顔をしている。
「わかった」
「よろしい」
海軍を引き連れて、風車の男は歩き出してしまった。
何も言わない彼が、どうにも引っかかる。
「あんた、ナミちゃんの知り合い？」
「ええ、仲間よ。それが？」
「アーロンはこんな小さな子まで......ナミちゃんの時と同じね。子供を海賊に入れるなんて」
声をかけてきた叔母さんの言葉にAは日傘を握り直した。
「ねぇお嬢さんこの村の過去について教えてくれないかしら」
「え、えぇ」
女性が周囲の大人と顔を見合わせる。
何やら言いにくそうにしているが、少し間を開けてから女性は口を開いた。
十年前に起きた、ココヤシ村の悲劇とアーロンの支配の始まりについて。
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作者名：U・K | 作成日時：2023年9月12日 2時
