吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ27)

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第百十九話:愛情の証ページ27

「だって、ねぇ。確かに船長が暴走する時抑えるのは船員の役目だけれど、それは私では無いもの」

ゼフが用意したワインを飲みながらAは呟く。酔っているのか分からぬ舌足らずさがあった。鼻歌を歌い始める彼女を見て、ゼフは溜息をつく。

「酔っ払うのもほどほどにしとけ」
「あら失礼、この程度で......それは？」
「......オレの航海日誌だ」
「まぁまぁまぁ！ゼフくんってらルフィのことそんなに」

キャッキャと若い子供のように燥ぐAにゼフは顔を顰めた後、ルフィのいるキッチンへと姿を消してしまった。
揶揄相手がいなくなってしまいもの寂しさを覚える。

鞄から紙とペンを取り出し、スラスラと描き出していく。丸っこいフォルムに金色の髪、片目が隠れている仕様だ。

「それはおれですか？」
「えぇ、似てるでしょ」
「えぇ、まぁ......」

そのどうにも形容し難いフォルムの生物が自分にそっくりだと言われればサンジとしては複雑だ。男心というのは難解なものである。

「坊やのはもう少しだけ待っててね」
「もしかして、全員分あるんですか？」
「そうよ」

私からの祝福よ、と告げたAは道具一式を仕舞い、ルフィを待つことにした。

「そうだ、サンジの坊や」
「なんだ？」
「来てくれてありがとね」

はにかんだAは容貌と年相応に無邪気な笑みを浮かべる。何処かチグハグな女性にサンジは照れくさそうにしながら笑った。