吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ24)

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第百十六話:演技指導ページ24

「知りたい事は知れたのか」
「......嗚呼気遣ってくれてたのね」

どうやら店に引っ込んでろと言われたのは彼なりの気遣いだったらしい。ゼフは言わないが、サンジとよく似ている。そのうちサンジもゼフくらいの年齢になれば髭を編むようになるのだろうか。想像して、Aは笑った。

「勿論。とりあえずは知れたわ......そうだおにぎり美味しかったわ！ありがとねゼフくん」

ゼフは神妙な顔をした後、息を吐いた。その瞳がAを見ていないことは確かで、存外わかりやすい人間である事に気付く。

「そのお礼に一言だけいいかしら」
「なんだ」
「顔に出てるわよ」
「......わかりやすいか」
「えぇ、明らかに。もう少しいつも通り、そうね少しくらい肩の力抜いて視線を合わせるのがベストよ」

そう言って小突いてAはゼフから離れた。

「演技上手な先輩からのアドバイスよ。ちゃんと聞いておく事ね」

なにせこちらは年単位で演技をしていたのだ。ルフィを"信頼している"ように見せており実際誰にも疑われることは無かったし、当の本人は気付く様子もなかった。前提条件が違うのだから当たり前かもしれないけれど、自分らしく、それらしい言葉を選ぶのが欺くのにはいい。ほんの少しの本音を添えることも忘れずに。

しかしゼフは無理だろうなと察していた。彼は海賊であったといえど、サンジの親でありバラティエのオーナーなのだ。下手な嘘はつけまい。