吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ23)

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第百十五話:朝食前の戯れページ23

日が昇る。吸血鬼にとっては地獄のようだが、人間にとってはそうでも無い。生活が始まる合図なのだ。

「おはよう坊や」

キッチンに現れた青年に挨拶をすれば、青年は目を丸くした。ここの副料理長が今朝の料理担当である事は昨夜ゼフにおにぎりを貰った際に聞いてあったのだ。

「おはようマダム。よく寝れましたか？」
「ええ、勿論......吸血鬼が夜に寝るなんて可笑しな話だけれどね」

クスクスとAが笑えばサンジは肩を竦めて笑みを浮かべた。厨房へと進んでいく足の重さは、昨日の戦いなど露ほども感じさせない。

「付いてくる気にはなった？」
「......ありがたい誘いだけど俺は行きませんよ」
「そう。わかったわ。貴方がそういうのなら私は無理にとは言わない」

Aは申し訳なさそうにしているサンジを見て苦笑する。本当に優しい性格をしているのだろう。付き合いが短いけれど所々に滲む優しさは、彼が女性だけでなく男性にも向けていることは理解していた。

だから店の人達にも大切にされているのだろう。

「年長者としてはしっかりしないとね」
「？どうしました」
「いいえ、なんでもないわ。それより朝食楽しみにしてるわ」