吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ21)

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第百三話:第三者の影ページ21

優雅に本を読みながらAは戦闘音をBGMに読書をしていた。理由としては単純明快、ゼフに下がっていろと言われたからである。郷に入れば郷に従え、この船の船長であるゼフの言う通りにしただけだ。

雑魚はある程度散らした為ルフィに文句を言われることも無いだろう。サンジとルフィの戦いっぷりが見れないのは少々残念だが声だけ聴こえるので良しとする。

「シャンクスの坊や達でも見つからないわけね」

二本足でゆらゆらと椅子の重心を後ろに傾けながら天井を仰ぐ。随分と意味の無いおねがいをし続けたと反省する。今度会えたら謝らなければ。

それにしてもルイから借りた本だが、Aの知りたい事恐らく全てが記載されている可能性が有る。カヤから貰った手帳も開けることが出来そうだ。

「A・ノスフェラトゥ」

恐らくそれが本名なのだろう。門番、英雄、管理人、どの嚇々とした肩書きにも見合う功績がある女は、Aの本来の姿と同じ格好をしていた。

「......記憶の剥奪に近しいのかしら私の場合」

Aの予測が正しいのならば第三者がAの記憶に関与している場合がある。鏡に見えるのがいい証拠だ。

吸血鬼は悪魔の一種であり、海の悪魔同様能力を持っている。悪魔の実、なんてものが有るのだから本物の悪魔にもあった所可笑しくない話だ。

そこで何故鏡に映るかという話になるかと言えば、簡単な話ある種の能力が掛けられた吸血鬼はいくつかの特性を得るからだ。
一つは吸血衝動の減少。これのおかげでむしろ今まで生きていけたらしい。吸血鬼は人間と同じ様三日に一度は吸血しなければ死ぬ確率が高いらしい。
二つは術に掛けられたことを見抜く為鏡に映る様になっている。これは映らぬようにする術も有るらしいが、されていなかった。記憶喪失となった為思い出す可能性はないと判断されたのだろう。
三つは本能の劣化。吸血衝動と同じ様、十字架や海に対する抵抗がほんの少し弱まるのだ。ある一定の条件が満たされなければそれがむき出しになる可能性はほぼゼロに等しいとされる。
四つは＿＿＿とあげていけばキリがない症状がいくつもあるが、当てはまるのは二つ目だ。

Aは濡れ羽色の髪を撫でながら小さな息を吐いた。困惑した表情は、誰にも見せることないものだ。