吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ20)

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第百十二話:面白い話ページ20

サンジの戦い方は蹴りのみらしく、戦闘員としてはかなり珍しい類稀なる力であった。足の筋肉全体を鍛え、柔らかさもある。柔軟性と瞬発力、筋力などなど様々な力が作用しているのだろう。

「彼、面白いわね」

Aの感想と言えばそれのみだった。Aも足は使うが彼のような蹴りはしない。あくまで戦闘手段の方法の一種として蹴りを取り入れてるだけだ。彼は蹴りのみ、手は使わない。

中々に個性的な面子が揃いそうだとAは笑みを浮かべた。ゴムゴムの実を食べたルフィに、三刀流のゾロ、航海士としてかなり優秀なナミに、狙撃手のウソップ、あとは足使いのサンジ。そして吸血鬼の自分。少数精鋭ながらかなりの戦力だろう。

「それにしても厄介なのに目をつけられたものねゼフくん」
「うるせぇ。こんなんよくある事だ」
「よくあることなの？」
「まぁな......ふん」

そう言いながら足を振ってパールを全て落とすゼフ。グランドラインで生きて帰ってきたという話は伊達では無い。

パチパチと手を叩けば店に入っていろと言われてしまった。Aとしてはパールという男とサンジの戦いをできれば近くで見ていたいので嫌なのだが圧力をかけられればそうもいかない。
Aは日傘を閉じ、倒れた椅子を起き上がらせて鑑賞することにした。優雅に足を組む姿はとてもここが戦場だとは思えないものだ。

「蹴りの爆風で炎を消しちまった」
「なんてこったまさに神業、赫足のゼフはまだ健在なのか」

敵味方関係なく賞賛されるゼフだが顔色変える素振りすら見せずドッシリと店の前で構えている。これは確かに船長の器だろう。Aがそう思った所にモーニングスターが飛んできた。

「あら、私初めて見たわアレ」
「生憎俺もだ。あんな使い勝手の悪ぃ武器使う奴はそうそういねぇよ」
「......ルフィの声が聞こえるわ。元気ねあの子は」

あの男なら例え地獄に行けど騒がしそうだと思う。なんなら地獄すら攻略する勢いだ。
まるで教会の鐘の様にルフィの声がAの耳に残る。嫌でも忘れられない程強烈な男は、きっと勝つだろう。Aは天井を見上げながらそう思った。