吸血鬼娘は日傘をさす3【ONEPIECE】 (ページ15)

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第百八話:信頼度ページ15

「小僧、貴様は何を目指す」
「海賊王」
「険しき道ぞ、この俺を超えるよりもな」
「知るかんなもん、これからなるんだから！」

遠い声だ。海のさざめきが聞こえる。この場にいる海賊が皆息を飲み、ただヨサクとジョニーの訴えかける声が空に響いていた。

「生きてる！」
「ッ坊や」

ウソップの声でAはおにぎりを片手に、もう片方の手にゼフの手にあった日傘を持ち飛んだ。ありえない跳躍力だが、吸血鬼ならば普通だ。

船に上に飛び乗ったAのせいで船が揺れる。

「る、るふぃ......聞こえるか」
「おう」

ゾロが刀を掲げた

「不安にさせたかよ......俺が、世界一の剣豪にくらいならないとお前が困るんだよガハッ」
「兄貴もう喋らないでくれ」
「ゾロ......」

声が震えている。血も吐いて、それでも伝えたいことがあるから叫んでいる。

「俺は、俺はもう......二度と負けねぇから！」

ゾロが泣いている。悔しくて、痛くて堪らないのだろう。Aは彼を見下ろしながらそう思う。諦めないあたり、彼はルフィと同じ強さを持っているはずだ。若くて、眩しい。

「あいつに勝って大剣豪になる日まで＿＿＿絶対にもう俺は負けねぇ！文句あるか

海賊王ッ」

強い子だ。天性の精神的な強さに、ルフィという支柱があることでさらに安定しているのだろう。この先何があっても彼は野望を捨てることは無い。

「......ヒヒヒヒヒ、ない！」

ルフィも、ゾロという船員がいることで精神が安定している。少し大人になったとAは感じる。

「子供の成長って早いのね」
「はぁ、はぁ、つかなんでてめぇが泣いてんだよ」
「泣いてないわ、それよりウソップ怪我の応急手当をやりましょう」
「お、おう」

目元を擦る。ゾロの口に残ったおにぎりを詰め込み、ポーチから救護キットを取り出す。まずは傷口に雑菌が入らないようにしなくてはならないのだ。

本能だとか、欲求だとかそんなもの関係ない。今のAのすべき事はゾロの手当だ。溢れてくる熱は無視してゾロの手当にかかった。