吸血鬼娘は日傘をさす 2【ONEPIECE】

第五十五話:恋のお話 ページ9

「あの御屋敷のお嬢さんと恋仲なのかしら」
「爺婆ってすぐ恋愛と絡みつけたがるよな」
「うるさいわよゾロの坊や」



大きな欠伸をするゾロにツッコミを入れながら、食後のティータイムを味わう。桃の香りがするそれを嗅覚で楽しんでいるところに茶々を入れられれば誰だって楽しくないだろう。



「爺婆じゃなくて、女なら誰だって食いつくわよ。人の恋愛事情以上に盛り上がる話なんてそうそうないわ」



女とはそういう生き物だ。フーシャ村にいた頃はやれ自分の息子が○○さんちの子に懸念してるだの、やれ今度結婚するだの、やれ振られただの恋愛話を沢山聞いてきた。



いつまで経ったって女は女。噂話が大好きで、中でも一等人の恋愛事情が大好物なのだ。




「それに身分違いの恋ってのはいつの時代の小説でもセオリーよ」
「むぐ、むぐ」
「坊や、食べカスついてるわよ」
「ん、おう、サンキューな」
「禁じられたものほど欲しくなる、生物の性ってやつね」
「ごきゅ......はぁうめぇなぁ!!!」


口の中に広がる甘い香りに満足そうに笑みを浮かべる。



ゾロもナミも隣にいる大食らいのせいでなにも耳には入っていない。けれどもそんなルフィを見てニコニコと笑っているのだからどうでもいいやと思った。




多分常識が別の意味で通じないふたりに、相互頭を抱えることになるのはまたあとの話。




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