吸血鬼娘は日傘をさす 2【ONEPIECE】

第五十三話:胸の蟠り ページ7

問題があるからと言って完璧な答えがある訳では無い。どのような事象にも当てはまる。



今の時代、親と子供が離れ離れになりながら生活をしている事は半ば普遍性を伴っている。親が海賊になり、海兵になり、出稼ぎに行き、蒸発し、と様々な理由は挙げられるがもれなくルフィとウソップもそうであった。



以前ルフィの祖父に当たるガープにルフィの父親についてAは尋ねたことがあった。彼もまた、家族より先に優先すべきことがあった男だった。




もしかしたらAに家族がいたのかもしれない。愛すべき人がいた可能性が脳裏によぎることが偶にある。




「＿＿＿い、おい！A」
「ちょっと起きてる!?」



弾けるような感覚を覚えAが顔をあげれば、眉間に皺を寄せたゾロがいた。見下ろせば同様不満気な、怒っているようにも思えるナミがいる。



「ごめんなさい、少しばかり意識が逸れていたわ......そんな顔をしないでちょうだい。可愛い顔が台無しよ」
「誰が可愛いだ」



ゾロの方に手を伸ばすが呆気なく払われてしまう。



「可愛いわよ」



ナミの頭を優しく撫でる。ゾロと違い払おうとしないナミ。それがまた嬉しくてAはナミに抱きついた。

第五十四話:隠し事が苦手な→←第五十二話:知り合いの息子

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す