第九十一話:コックと鬼人と少女と ページ46
「大丈夫かしらお兄さん」
紆余曲折ありながらもギンが店から追い出されてしまい、Aは内心落胆していた。少し暴れて、それをルフィが正義感から止めて御咎め無しとなれば好都合なのだが、どうもそう上手く事は運ばない。
「......」
「人間って大変ね。いっぱい栄養を取らなければ生きていけないもの。不便な身体だわ」
「てめ、なにもんだ」
地面で横たわる男は胡乱な目でAを見上げた。どうも脅す気力すら残っていないらしい。
「吸血鬼よ」
「馬鹿にしてるのか」
「いいえ。そんなことするわけないじゃない。赤の他人である貴方を揶揄したところで私にメリットはないもの」
男に陽射しが当たらぬように少しだけ傾け、地面に座り込む。幸い、露出していない足は日差しの元にいても焼けることはない。
「よしよし」
「な、んだ」
「ん〜、なんとなく。空腹で動けないあなた見てると、坊やみたいで」
ルフィは食欲が異常だ。幼い頃から片鱗を見せてはいたが徐々に徐々にと信じられぬ量の料理を食していった。
「ん？」
ガチャりとドアの開閉音がしてAは顔を上げた。
金髪の子だ。ぐるりと眉が丸まっているコックというには不相応なスーツ姿にウエイトレスかとAは思った。
片手にはシーフードライスが盛り付けられプレートがあった。ご丁寧に水とスプーンまで置いてある。
「......」
ごくり、と唾を飲み込む音が聞こえた。
「お嬢さん、こんな所で何してんだ」
煙草の火を消し、男は問いかけてくる。金色の髪が太陽の光に反射してキラキラしていた。
「何って、坊やの回収ね。あとは料理士の確保が目的」
「坊やって、弟さんか？ざんねんながら子供は来てないぞ」
「いいえ、弟じゃないわ......それより貴方食べないの？」
ハッとした様子でAを見上げるギンは、その後視線を金髪の男にずらした。
「落ちぶれてもな施しは受けねぇんだよ俺は」
変な意地だ。人間なんか弱くてすぐに倒れるくせして何故意地を張るのか。理解し難い。
「俺にとっちゃ腹減らしてるやつは客なんだよ」
Aはこの男がコックである事にやっと気付いた。
存外ぶっきらぼうなだけで優しい男なのかもしれない。Aは男の横顔を見てそう思う。
ギンは食事にありついた。何度も感謝の言葉を述べながら。
Aは何故か形容しがたい感情に襲われた。ムズムズと心が騒めく。
「ハッハハハいいコックみつけた」
第九十二話:レディと云うより→←特別編CROW＆VANNPAIA
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ゆおゆお - とっっても好きです！更新頑張ってください！ (8月28日 18時) (
レス) id: 3120b2a8d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぺお - とっっっても好きです！！！ (7月26日 5時) (レス) @page25 id: 9c7d7bec90 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - 無理しないでに頑張ってください❌無理しない程度に頑張ってくださいです!すいません💦 (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - まってめっちゃ好きです…（ ; ; ）無理しないでいでに頑張ってください！！ (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 吸血鬼の大人っぽい主人公最高です！！これからも更新頑張って下さい！ (7月2日 4時) (レス) @page3 id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U・K | 作成日時：2023年6月26日 21時
