第八十六話:夜の談話 ページ40
「機嫌いいなA」
「ルフィの坊や」
クルクルと膝下まであるスカートの裾を膨らませながらステップを踏んで浮いているAのもとにルフィが現れる。
腕を伸ばして飛んできた我らが船長の機嫌は見るまでもなく良さそうだ。
「どうしたの？」
「次の目的決めたぞ！」
「あら、次は何？」
「海のコックさんだ」
海のコックさん......と一瞬考えた後料理士だということを理解する。確かに人間ならばバランスの整った食事が必要だろう。血液があれば生きていける自分とは違う。
「違うのよねぇ」
やけに感傷に浸った声が出て思わずAはそっと口元に手を当てて視線を逸らす。
「なにが違ぇんだよ」
恐ろしいほどの速さで顔を近づけてくるルフィ。見張り台から身を乗り出す勢いで接近してくるルフィを押し返した後、羽を休めてルフィの隣に座った。
「......違うでしょう私と貴方たちは」
こちらは吸血鬼で、あちらは人間。種族の差というものは大きく遺伝子に影響を及ぼす。本能的に人間を守ろうとする。それを例え相手が望んでいなくとも。
それが彼らの成長を妨げることを知っているから毎度毎度我慢しなくてはならない。
「何が違ぇんだよ」
「種族とか、色々違うでしょ」
「んだよ、別に種族なんかどうでもいいだろうが」
ルフィはわかっていないのだ。本能で分かる吸血鬼の恐ろしさを。血の匂いがするだけで口の中で唾液が溢れてしまうことに何度戦慄したことか。
「AはAだろっ」
「......そうね」
「わかってんのかっ」
「わかったわかった、大丈夫。坊やの言いたい事は理解してるわ」
空に向かって飛び込みくるりと回る。スカートがひらりと揺れて円を描いた。
「そろそろ寝なさい坊や。不寝番、今日はゾロの坊やでしょう。それに明日から料理士探すんでしょう？早く寝た方がいいんじゃないかしら」
「......うめぇ飯食べてぇな」
「そうね」
ルフィが月を見上げる。月に照らされる彼に違和感しか覚えず、Aは笑った。そういえば、ルフィは恐ろしい程太陽が似合う男なのだった。
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ゆおゆお - とっっても好きです！更新頑張ってください！ (8月28日 18時) (
レス) id: 3120b2a8d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぺお - とっっっても好きです！！！ (7月26日 5時) (レス) @page25 id: 9c7d7bec90 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - 無理しないでに頑張ってください❌無理しない程度に頑張ってくださいです!すいません💦 (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - まってめっちゃ好きです…（ ; ; ）無理しないでいでに頑張ってください！！ (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 吸血鬼の大人っぽい主人公最高です！！これからも更新頑張って下さい！ (7月2日 4時) (レス) @page3 id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：U・K | 作成日時：2023年6月26日 21時
