第六十話:事態の悪化 ページ14
「少しいいかしら?」
村人の一人に声をかける。村人は一瞬眉をひそめたがAを見ると息を吐き視線を合わせてきた。
「どうしたんだいお嬢ちゃん」
「ウソップの坊やがどこ行ったか知らないかしら」
「ウソップぅ?お嬢ちゃん、なんでウソップなんかに用が」
「ちょっとね」
警戒心が無いのか、Aに警戒する必要が無いと思ったのか知らないがウソップについて話してくれた。
どうやら海賊が攻めてくると、常の法螺吹きをして村人たちに追われているらしい。
かなりの悪手だ。
何故、今このタイミングでそのような事をしでかしたのか。
「......まぁウソップが悪いやつじゃねぇって事は俺らもわかってるんだがな」
「え?」
「ん、嗚呼......あいつの親父さんある日あいつと奥さん置いて海に出ちまってよ
奥さん、まぁあいつの母親は病弱でよ。そんな母親励ますようにちいせぇころからあれ繰り返してんだ......可哀想なもんだよ。もうあいつの母親はいないってのに今もそれを続けてる
って子供に何話して......っていねぇ!?」
「お嬢さんッ!」
「うお!」
「きゃ!?」
突如二人の間に現れた少女に言い争う二人は悲鳴を上げた。
「ウソップの坊やいいとこに」
「Aさんウソップさんが」
「おい、今俺はカヤと話してるんだ」
「やめてください!!」
パチン、と皮膚を叩く音がやけに木霊する。Aが情報を飲み込めず、その場に立ち尽くしているとカヤがポロポロと泣き出してしまった。
「......最低」
「あ......」
今は冷静じゃないウソップとカヤを離すのが賢明だろう。
「お嬢さん」
「......」
カヤの腕に手を添えれば、細い腕がAの腕を握り返す。微かに震えた手に彼女の優しさが垣間見えた。今まで人を叩いたことなんて無かったのだろう。
「お嬢様から離れろ!」
「ダメッ」
「お嬢さん、ッウソップ!?」
メリーが放った銃弾がウソップの腕を掠める。
「ッ」
ウソップは此方を見ることも無く走り去っていった。
「お嬢さん、今は屋敷内に戻った方がいいわ」
「Aさん......っあ」
カヤがAに体重をかけてくる。恐らく精神的な疲労のせいだろう。気絶してしまったカヤをお姫様抱っこしたAはメリーを見上げた。
「お嬢さんが起きた時のために水分をお願いします」
「え、あはい」
バタバタと屋敷に戻っていくメリーの後ろ姿を眺めながら考える。
「ウソップの坊や......何を考えてるの?」
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ゆおゆお - とっっても好きです!更新頑張ってください! (8月28日 18時) (レス) id: 3120b2a8d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぺお - とっっっても好きです!!! (7月26日 5時) (レス) @page25 id: 9c7d7bec90 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - 無理しないでに頑張ってください❌無理しない程度に頑張ってくださいです!すいません💦 (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
正体不明の生き者 - まってめっちゃ好きです…( ; ; )無理しないでいでに頑張ってください!! (7月5日 15時) (レス) @page5 id: 92db999cd5 (このIDを非表示/違反報告)
やぁでぅん - 吸血鬼の大人っぽい主人公最高です!!これからも更新頑張って下さい! (7月2日 4時) (レス) @page3 id: 92500eea4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:U・K | 作成日時:2023年6月26日 21時