青葉繁れる <ybhk>

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あっという間に1曲目が終わった
会場の反応は上々だ


普通はここで
メンバー紹介やちょっとしたトークが
入るんだけど、これも昨日話し合って
俺らはケイトがいるから曲間はなしにして
1曲目のエンディングと2曲目のイントロをつなげることにした


次はしっとりしたバラード


急遽作ったアレンジは
転拍するとこが難しい、
中島とアイコンタクトをとって
息を合わせる


何が始まるのかと高まる期待を
肌で感じて
ちょっと親指を浮かせて
ネックをスライドさせたら
客席がそれに反応して
空気が動く


さあ、この後は高木の歌声が
全てを支配するはずだ。


高木、頼んだぜ


俺らは高木に向かって
メロディを託した




「……」



あれ？
緊張してうまく入れなかったのかな




薮のキーボードがもう一度
イントロを弾いた






「‥‥」





ケイトがへんなすき間を埋めるように
ギターのリフを繰り返す





「‥‥」

　



会場がざわつきはじめた





「‥‥」







そこに、いきなり、




「ゆうちゃんの、嘘つき！！！」




客席をつんざくような怒鳴り声がステージに叩きつけられた






「ゆ、ゆ、ゆうちゃん？」




薮が素っ頓狂な声をあげて手をとめた。
その視線の先、会場のど真ん中に
マルチーズ山田くんが仁王立ちになっていた



「ちょ、なに？
いったいどういうこと？」




ざわついていた会場は一瞬で凍り付いて
しーーーーんとなった



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