青葉繁れる <ybhk>

. ページ12

.




ガラリと引き戸が開いて
高木と…もう一人、
背が高くて
カッコいい奴が入って来た。


「お邪魔しまーす、
紹介するよ、
4組の中島裕翔。
俺の幼馴染なんだ」


「はじめまして！」


なんだなんだ、
ハキハキして
ものおじしない奴だな
さすが、高木の友達だけある


「実はさ、11月の学祭だけど…」


高木の話はこうだ。
うちの学校には軽音部はないけど、
学祭では有志で組んだバンドが
3組だけ、体育館のステージで
演奏することができる。
中島はドラムが得意で
中学時代からバンドをやってるんだけど
他のメンバーはこの学校じゃないから
期間限定で学祭までバンドを組みたい、
曲は中島が作ったオリジナルがある、
って話。



「どう？俺らでバンド組まないか？
光くんにベース、薮くんには
キーボード頼みたくて」


「えっ、薮、鍵盤できるの？」


「うーん、まあ…、
小さいころヤマハに
通わされてたんだよ」


「うまいよ。中学の合唱コンの時は
薮くんが伴奏してくれて、
ギターも弾けるし
歌もうまいよね」


「へええ」


「中島の作った曲、聞く？」


「うんうん、ぜひ」



中島がエアドラムを
叩きながら歌い始めた。

これが…
なかなか、いい曲なんだよ。



「俺、やりたいなあ」



八乙女の目がキラキラ輝いた。
音楽が好きなのは知ってたけど、
ベース、弾くのか、
ものすごくやりたそうだなあ




「薮くんは？」


「ううーん、俺はどうしようかなあ
人前でこういうことするのは、あんまり…
ピアノもずっと弾いてないし」


「俺なんて、ギターを
これから始めるんだぜ、
彼女に期待されちゃってさあ。」


ああ、バナナマフィンね。
中島がニヤニヤと笑いながら言う、


「高木くんの場合、
動機が動機だから
心配ではあるけどねえ、
そうだ、良かったら、今度の日曜、
楽器持って来ない？
俺んち、親がピアノを弾くから
防音室があるんだよ、
思い切り音がだせるぜ」


「へえ、すごいなあ、
日曜なら行くよ」



それから
中島と八乙女が
音楽の話で盛り上がって…
こんなに饒舌な八乙女は
初めて見たってくらいだ


学祭でバントかあ、
ちょっと、想像つかないけど、
中島って面白そうな奴だし、
八乙女がベースを弾くとこが
すごく見たくなってきた




「……じゃあ、俺も久々に弾くか！」


「え？薮、ホント！うわあ」


八乙女が立ち上がって薮ありがとうなんていうから
照れくさくなる、


「練習いつからにする？」








・

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す