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その日から3日間、
俺達はほとんど部屋に引きこもったまま
ほぼ裸同然で過ごして
何度も何度も愛し合った。
お互いに片時も離れたくなかったのだ。



光は懐かしそうに
焼きそばパンの話をしながら
俺の髪を切ってくれて、
部屋の殺風景さと
不器用な暮らしを笑った。


「薮、飯はどうしてんの?」


「米は‥‥炊いてるよ。自分で炊ける」


「あはは、当たり前じゃん。
そんなの自慢にもならないって」


「だいたいは、卵かけご飯を食ってる。
醤油ならあるよ。後は牛乳を飲んでる」


「白いもんばっか、緑の野菜も食べなきゃ、
ん?冷蔵庫にあるの醤油だけ?」


けたけたと笑うその声が嬉しくて
もっと笑わせてやりたくなる。


「あと、俺さ、牛乳をめちゃくちゃ
早く飲める事に気付いた。
朝、寝坊するじゃん。
で、大急ぎで飲むんだけど、
マジ早いんだよ。
秒だよ、秒!
計ったらギネス行けるかも」


「薮、バカなの?」


「そうだ!
唯一作れる料理があるんだ。
豚肉を炒めてラー油をかけるんだけど
これがうまいんだよ。
光に食わせてやりたいなあ
これから牛乳と豚肉を買いに行こうぜ」



そんな話をしていたら、
突然どんどんと激しいノックの音がした。


ドアを開けると
そこにいたのは伊野尾だった。


「薮!なんだよ!
電話も出ない、
メールに返信もない、で、3日だぞ。
もう週末だし、
さすがに倒れてたりなんかしたら
まずいと思って見に来た、
教授も心配して…」


伊野尾は、強引に玄関先に入ってきて、
そして、ぽかんとした顔で黙った。


そりゃ、そうだろう。


俺はパンツ一丁で、
体には、爪痕だのキスマークだの
が盛大についてるし、
丸見えの室内は布団が敷きっぱなしで、
その上にこれまた裸の光が、
ぽかんと伊野尾に顔を向けていた
 
 
 

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(プロフ) - ひまわりさん» ひまわりさま お越しいただきありがとうございます!また、嬉しいお言葉を頂きまして恐縮です〜、ホントにラブラブ度がマシマシのお二人に私もニヤニヤが止まらず…ほんとにあの二人は愛の沼ですよねえ(*´ω`*) (2020年2月28日 8時) (レス) id: 606e7e57bd (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり - 最高です!言葉が綺麗で、やぶひかの愛のお話に、ニヤニヤが止まりません! (2020年2月26日 13時) (レス) id: c555f4efe2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ちちちさん» ちちち様。涙がこぼれるなんて勿体ないお言葉、ありがとうございます!こんなまんまで、しみじみと10年位たってしまって、告白もしてないのに当たり前に同じ墓にはいるつもりでいるような2人が私も大好きです。長編も頑張ります! (2019年5月11日 1時) (レス) id: 606e7e57bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みるみるみるきーさん» みるさま。えー、なんかー、すごくすきぃーーになって頂いて嬉しいQです。でもでも、ずっとこのままなら、いい関係だけど‥‥清いままなんですよおおーーー。ぶうぶう。ま、そのうち薮さまがしれっと手を出してくると思われますー、ふっふっふ (2019年5月11日 1時) (レス) id: 606e7e57bd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま。最近のやぶひかの尊さにはもう心臓が持ちません。ひかにゃんって、繊細で、メンバーの事を本当によく見てるなって思う事があって、その優しさが薮さんにあからさまに向かっている所が好きです。長編、頑張ります! (2019年5月11日 1時) (レス) id: 606e7e57bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:___  
作成日時:2019年2月1日 23時

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