真夜中の散歩 【ＪＵＭＰ短編集】

しめちゃんの昼下がり〈ybhk〉 ページ24

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※しめちゃん視点
しめちゃんの性格等々は全く知らずに書いてます。
お許しをば…







初めて、ミュージカルに出演する。

その事が決まった時、
主演を務める事務所の先輩については
バックについたこともあるけれど
あまり、個人的な付き合いはなく
先輩を知る周りの連中に
その人となりをリサーチした
「薮くん？穏やかで優しいよ、
それに大人って感じの人」
「どんな時も冷静だし、
きちんと理由を説明してくれるし
いい感じの先輩だよ」
至って評判は良かった。




初めての雑誌の取材でも
俺の緊張をほぐしてくれようとする
先輩らしさで導いてくれながら、
「キャリアは充分なんだから、
先輩とか後輩とかなく、やっていこう」
と言ってくれる人で
俺はその懐にすとんと入る混む事ができた。



そもそも俺は、ファニーファイスで
キューティクルつやつやの
…まあ、どっちかというと可愛い方なのだ。
可愛い可愛いと連呼する先輩の横で
にっこり笑って写真に納まり
食事にも何度も連れて行ってもらって
ライブの前にはメールを頂いたりと、
今は可愛がられているのがちょっと自慢だ。


そんな話をしながら、
事務所の社員食堂で昼飯を
食っていたわけだけど
ちょうど、そこに、
たまたま居合わせた
別グループのメンバーが
俺にこういった

「おお、しめ、舞台の稽古どう？
薮くんさ、いい人でしょ、
すごくオープンで気さくでさ…
でもさ、ひとつだけ、
なんというか‥‥
流れ弾に当たらないように
気をつけろよな」

「流れ弾？どういう事？」

「…てか、あの雑誌みたよ。
なんか、お前、すっかり懐いてるんだな
あの雰囲気、デートみたいだったぞ、
まあ、大丈夫だろうけど、
やりすぎるとまずいことになるかもよ〜」

ニヤニヤしながら
肩をたたいて去っていく
その後ろ姿を俺はぽかんと見送った。


…なんだ？あいつ…
薮くんとそんなに親しかったっけ？
確か、八乙女君たちと
昼のローカル番組に出てたっけな…


でも、そんなことは
本番が始まる頃には
すっかり忘れてしまっていた。

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