Drifterⅳ【JUMP短編集】 (ページ28)

今日:18 hit、昨日:3 hit、合計:62,321 hit

. ページ28

・

水晶玉で占うというその占い師はテレビなぞには出ないが知る人ぞ知るという存在らしい、夜はバーの店先で占い、昼は客の呼び出しに応じてくれるという。

名前は明かさず顔も見せないという約束でホテルで占い師に会った瞬間、光は何も言わなくてもこの占い師が自分の全てを理解してくれているとを悟った。

「あのね、運命っていうのは確かなの、もうそれには抗えない‥‥わかってるでしょ、空気なんだよ。いないと苦しくて生きていけない、もう自分のパーツのひとつなんだ。
ああ、パンツ？…そうだね、そんなの占わなくても決まってる！洗濯してから切り刻んじゃえばいいんだよ、やぶはいつもおれのパンツを履いていたらいい、…そうでしょ？」

帰りに連れだってホテルを出ると、吸い殻をだらしなく散らかして角に男が立っていた。ずり落ちそうなハーフパンツに手を突っ込んで尻をかいていたその男に駆け寄って腕を絡めた占い師は光の方を振り向いてニコリと笑ったのだった。

※※※

「じゃあ、なんか作るから‥‥着替えなよ。はい、これ履いて。」

光が手渡した少しくたびれたパンツを手に取ると薮が鼻歌を歌いながら片足を突っ込んだ。台所に背を向けたままだけど、そのパンツにでかでかと「ひかる」と名前が書いてあることには気づいたはずだ。

「ねえ、やぶ、そのパンツをどこで脱いでくるの？そしてどんなパンツを履いて帰ってくるの？」

―――のろし、を、あげる

フライパンに割り入れた卵に向かって光は小さく呟いた。

※FIN※

パンツ話、めちゃ萌えた～
いうまでもなく、ゴミ箱に投げ入れた卵の殻の下には切り刻んだ黒地にウサギ柄のボクサーパンツが沈んでる。

20/10/17