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「田崎敬浩は、孤独しか知らない」
臣が話し始めた敬浩さんの物語、その一言めはこれだった。
子供の頃両親が離婚、母親は男を作っていたからそのまま出て行った。
父親は敬浩さんを引き取ってはくれたものの女を作り夜な夜な出かけていたため親戚の家をたらい回しにされた。
挙げ句の果てには、施設の全く知らない誰かさんに育てられる。そんな子供時代。
思春期に差し掛かっても全く変化はなく、逆に施設の人間は敬浩さんを出そうと必死だった。
このままでは、この子は一生ここにいることになる。
「敬浩くん、もう学生にになったんだから」
「…出て行ってくれる?」
敬浩さんに浴びせられたのは、辛辣な言葉だった。
それに耐えかねた敬浩さんはそこから抜け出し、1人で生きていこうと決めた。
そして出会ったのが今のメンバー。
それと同時に、敬浩さんが求めたのは愛だった。
今までずっと愛されなかった敬浩さんにとって、憧れでも愛されることが嬉しかった。
その愛は、略奪という名前に変化して敬浩さんの心を蝕んでいき、いつしか他人の愛を奪うようになったという。
「…なんで、そんな…」
「家庭環境を理由にしたらなんでもまかり通るってもんじゃねえけど…」
「許していいなんて、思ってない」
「もう会えない人にこんなこと言っても仕方ねえって分かってる」
臣が怒るのも無理はない。
利用されていたようなもの。
敬浩さんの寂しさを紛らわすために利用された。
そう思っても仕方ない。
タイミングがいいのか悪いのか、インターホンが鳴った。
しかも連打。こんなことするのはあのわんちゃんしかいない。
「おいわんこうっせえぞ!!」
「えーん!!おみさんが怖いです〜〜!!」
「なんだよ、大事な話してんのに」
「遊びに来たのに〜〜!!」
ドアを開けると岩ちゃん、そして後ろから直人さんだった。
話を聞くと岩ちゃんがタイマンふっかけられて圧勝して暇になって遊びに来たらしい。
岩ちゃんのスマイルとは正反対に服が返り血でいっぱいになっていた。
「隆二さん?どうしたんですか??」
「ううん、何でもない」
「目、合わせてくれないです。泣いちゃいます」
「な、泣かないで岩ちゃん。目合わせるから」
お風呂に2人を詰め込んだあと、すっかり拍子抜けした臣が言った。
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春山の小春(プロフ) - reira1227さん» ありがとうございます!また次回作でもよろしくおねがいします。 (2019年6月25日 8時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
reira1227(プロフ) - 雨宮兄弟大好きなので楽しみにしています! (2019年6月23日 17時) (レス) id: c7865bc4a4 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - 麗華さん» 返信出来ず申し訳ありませんでした。なんとかラストまで書き終えることができました。次回作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 24ef585744 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - 毎日めっちゃ楽しみに見てます!ラストまで頑張ってください!! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 860c6ebc86 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - シュニーさん» ありがとうございます!ラストシーンまで駆け足で作成中ですので是非最後までよろしくお願いします。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山の小春 | 作成日時:2017年9月15日 20時