_1 ページ38
俺が声をあげたことがそんなに珍しくかったのか、臣はやっと俺を見てくれた。
お茶を置いて、ソファの隣を叩きいつのまにか立ち上がっていた俺を座らせる。
「…隆二には、言ってなくてごめん」
「俺、聞いてきたよ」
「まあ、本人からじゃないんだけど…」
ちゃんと目を見て話してくれる臣が、嘘をついているとは思えなかった。
いつ?なんで言ってくれなかったの?
そんな問いかけはしても意味がない。
臣が俺に言わなかった。
それは間違いなく、俺のため。
自惚れなんかじゃなく、今までの臣の行動は全て俺のためだったから。
「…教えて、臣」
「俺大丈夫だよ。もう突っ走って行ったりしない」
まっすぐ目を見て、伝われって。
臣は俺のこと、俺よりもわかってるから。
「…わかったよ。てか隆二なら絶対そう言うと思った」
「わかってたなら言ってよ…」
「はいはい、言いますよ」
「…もう」
あのね、あの人は。
優しい口調は初めから終わりまで一切変わらず、俺に語りかけているようで臣自身に整理がついた状態で納得させたいようだった。
「…だってさ。by啓司さん含め先輩方」
「俺もきちんと本人から聞きたかったけど…きっともう俺や隆二には会ってくれないだろうから」
臣が語った、敬浩さんの全ての行動の真相…というよりは、理由とでも呼ぼうか。
それは、きっと誰にでも起こりうるものじゃなくて。
敬浩さんの複雑な家庭環境が、敬浩さんの心をそうさせてしまった。
「隆二は優しいから、こんなこと聞いたら気にするだろうな〜って」
「…そんなこと、」
「あるよ。俺がよく知ってる」
その表情は、夕焼けに照らされてとても綺麗で。
やっぱり、俺なんかには勿体無かった。
252人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春山の小春(プロフ) - reira1227さん» ありがとうございます!また次回作でもよろしくおねがいします。 (2019年6月25日 8時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
reira1227(プロフ) - 雨宮兄弟大好きなので楽しみにしています! (2019年6月23日 17時) (レス) id: c7865bc4a4 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - 麗華さん» 返信出来ず申し訳ありませんでした。なんとかラストまで書き終えることができました。次回作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 24ef585744 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - 毎日めっちゃ楽しみに見てます!ラストまで頑張ってください!! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 860c6ebc86 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - シュニーさん» ありがとうございます!ラストシーンまで駆け足で作成中ですので是非最後までよろしくお願いします。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春山の小春 | 作成日時:2017年9月15日 20時