誰も知らない僕らの居場所。3

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「…っえ、」
「何油断してんの？俺の狙いがまさか臣だなんて思ってた？」

耳元で囁かれる言葉は甘ったるくて。
俺の身体が騒いだ。

「一回抱いた男なんかもう興味ない」
「でもね、俺思うんだぁ」

ー隆二なら…。

「いい加減離れろっ！」
「やだなぁ、俺が変態みたいじゃん」

敬浩さんの言葉が、頭から離れない。
一回抱いた男、って何？
最後の言葉の意味は何？

「隆二、大丈夫か！？」
「何言われた？」

ー臣が、敬浩さんに警戒しろって言った意味がやっと本当にわかった。

「臣、さぁ…」
「敬浩さんに、抱かれたの…？」

俺の言葉に、わかりやすいほど臣は動揺した。
そして、黙って頷いた。

「全部終わったら、話すから」
「…今はまだ、待ってて」
「お願い。全部終わったら必ず話す」

臣の切実な願い事。
俺は叶えてあげられるんだよね。
また今度。
全部終わったら。

ー俺は、誰の隣にいるんだろう。


第10章『願い事』

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