第6章_1 ページ46
1.
「隆二の事、忘れたかった」
「隆二にも、俺の事忘れてほしかった」
臣はそう言って立ち上がり、俺の目の前に降りた。
初めて見下ろす臣は、手を差し伸べたくなる程に儚い、そんな顔をしていた。
「あんな事しておいて、会ってくれるなんて思ってなかった」
「二度と顔見せんな、くらいは覚悟してた」
臣がらしくない事を言うのは、何度目だろう。
らしくない、って思ってる時点で俺だけの特権だって思っていいんだろうか。
らしいことって、普段から言ってることだから。
「…俺、臣のこと嫌いになんてならないよ」
「友達、臣しかいないから」
「毎日でも、臣に会いたい」
全部本当。
嘘なんかひとつもない。
だって臣、俺が嘘ついたらわかるでしょ？
それくらい、毎日一緒にいるでしょ？
「…そっか。……ありがと」
不器用に伝えられた感謝は、友達に対して。
決して好きだからじゃない。
忘れよう。
キスされたなんて、臣にはそんな大層な事じゃないんだ。
俺が引きずっててもしょうがない。
そう思ってた。
思いかけてた。
「…やっぱ、好き。そーいうとこ」
「思い出させて、ごめん」
でもどうしてだろう、臣は忘れる事を許してくれない。
また上書きを重ねて、いつか本物になると思ってるんだろうか。
もう俺の中でそれは本物になっているのに。
3回目のキスは、どこか切なさを帯びていた。
かすかなリップ音に胸が締め付けられる。
忘れないでって言ってるのがわかる。
目を開けるのが怖かった。
目の前の臣がどんな顔をしているのか知りたくなかった。
だって。
だってあの顔は一度見たら離れない。
離れることを許してくれない。
それでも、された後は開けなければならない。
「…んな顔すんなよ」
「…欲しくなんだろ」
そう言った臣の顔は俺の中で何かが弾けるきっかけになった。
ー欲しい。
俺に初めてそう思わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「三代目JSoulBrothers」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (
レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい！ (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春山さつき | 作成日時：2017年5月15日 11時
