誰も知らない僕らの居場所。

_2 ページ29

そんな俺を見て臣は、口元を手の甲で押さえている。

「なんで臣が笑うのさ」
「いや…、ははっ！隆二まじ面白ぇ…！嘘だよ、ちょっとからかっただけ！」
「え？」

意味がわからずさっきの臣の様に首を傾げた。
それを見てまた臣が笑う。

「だから、お誘い」
「……、えっ？！」

臣は体ごと俺の方に向けた。

「夏休みも、俺と会ってくれる？」

そう言って、爽やかに笑った。
後ろの太陽が、臣の笑顔を輝かせてるんじゃない。

臣が輝いてるんだ。

「…っうん…！勿論！いつでも呼んで！」
「俺暇だから、そんな事言ったら毎日呼ぶよ？」
「いいよ！」

いいよ、なんでも。
臣に会えるなら。
正直気になってたんだ。
夏休みの間は、1度も臣に会えないのかなって。
でも会いたいなんてそんな女々しいLINE送れるわけない。

「隆二」
「なーに？」

「…本当に、毎日呼んでいいの？」

こんなこと言ってくれるくせに、俺の気持ちには気付いてない。

「じゃあ、本当に毎日呼んでよ？」

俺がこう返したら臣は少し照れくさそうに笑って。

「覚悟しとけよ、隆二」
「おっけー、臣」

そして嬉しいなんて思っていた俺は油断していたらしく、近付く臣に対処できなかった。

_2→←_2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す