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2.
「ねぇ臣、俺」
「隆二」
またしても被った声に笑い、今度は俺が話すことに。
でも、この時俺が後に話していれば後々訪れる微妙なすれ違いなんかなかったかもしれない。
「藤井さんって知ってる？」
「…女？」
俺はただ、ノートの事を臣に相談したかっただけ。
藤井さんの取ったノートはやっぱり内容が足りなくて、俺が写す事はなかった。
「…知らねぇ」
「そっか、ごめん臣。それで聞きたいんだけどこの実験って」
俺はまだ、片想いでよかった。
今はまだ、片想いでよかった。
ーだからこそ、臣の表情に気付けなかった。
「隆二、悪い」
「何？」
空の弁当を俺に差し出し。
一言謝った。
その本心も俺は気付けなかった。
「…俺帰るわ」
「臣…？」
ただ、スマホを手に取って帰っていく後ろ姿を眺めて俺は追いかけた。
「臣！待って！」
「…あと」
ー俺の弁当、いつも美味しかったって言ってくれるじゃん。
ー明日も楽しみにしてるって言ってよ、臣。
けれど、俺に告げられたのは全くの見当違いで。
俺が1番恐れていたことで。
「…もう来んな」
「…え…？」
「もう、ここには来んな」
そう言った臣の目は、初対面のあの時よりずっと冷たくて。
俺の喉を凍らせて、何も話せなくしていった。
身体も固まってしまってそのまま追いかける事も出来なかった。
ー怖い。
臣がじゃない。
臣に嫌われることが。
臣に会えなくなることが。
臣が俺を拒絶するのが。
ーねぇ臣、今送ったらLINE返してくれる？
ー俺と臣を繋ぐものはまだ、ある？
「…なんで…っ！」
片想いでよかったなんて、そんなのはただの建前でしかなくて。
本当はもっと話したい、近付きたい、触れたい。
ーでもそんなこと、臣に言えるわけがない。
『もう、ここには来んな』
臣の冷たい視線が。
臣の低い声が。
俺の全てに刻まれて離れない。
こんなに辛いなんて、今まで知らなかった。
片想いなんて、初めてじゃないのに。
だって、ダメでしょ？
臣の事好きだって言ったら、臣は受け入れてくれる？
せっかく一区切り、諦めがついたのに。
会えないなんて、嫌だよ。
ーどうして？臣。
「…臣…っ」
ー俺は、どこで何を間違えた？
ー何が気に食わなかった？
「戻ってきて…っ！」
どうしよう、涙が出そう。
片想いで泣いたことなんて無い。
それなのに、涙が溢れそう。
ううん、溢れてる。
もう止められない。
わかっていたんだ。
結局俺は男で。
どうあがいても男同士で。
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (
レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい！ (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春山さつき | 作成日時：2017年5月15日 11時
