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「そのさ、登坂くんってそろそろやめねえ？」
「へっ？」
「名前で呼んでよ」
俺も隆二って呼んでるし、と。
「てか、臣でいいから」
「わか、った」
登坂くん…臣は、俺にわかりやすく距離を縮めた証明を、くれた。
「呼んでみてよ」
「お、臣…？」
「なんで疑問形になった」
ーどれだけ俺がドキドキしてるか知らないくせに！
ただそんな煩い心臓の音も心地よく聞こえるくらい、今の俺は幸せだった。
「ん、やっぱ隆二の弁当最高。これだけのために俺学校来てる」
「…それで迎えに来たの」
少し不貞腐れたフリをしてみたら、臣は何故か爆笑した。
「まぁ弁当も美味いけど、」
「…けど？」
そんな不貞腐れんな、と言って臣は俺に爆弾を落とす。
「隆二と話したかった、昨日の分も」
「あ、ありがと…」
ーこういうところだよ！臣のズルいところ！
しれっと出てくる胸キュン台詞。
その全部が俺の心に響いてることに気付いているはずも無い。
「隆二は？」
「何？」
「俺と話したくないの？」
ーあああもうズルい！こうやって可愛いとこ見せてくる！
多分俺は一旦好きになれば相手のどんなところでも好きになってしまうんだろう。
「俺だって、臣と話したかった！」
ーどうしよう、今顔真っ赤だ。熱い。バレてるの？気付いてるの？知らない振りしてるだけなの？
色んな感情がごちゃ混ぜになって自分でもわけがわからなくなって。
臣に気付かれないように出来たかどうかも不安で。
「は、恥ずかしい事言わせないでよ！」
ー俺も何恥ずかしい事言ってるんだよ！
臣の少ない表情から感情を読み取るのは難しい。
いつものテンプレ無表情を貼り付けて俺の心を責める。
それもまた何故か心地いいと思ってしまうのは俺がおかしいのか？それとも好きだから？
「…隆二可愛い」
「何言って…っ！？」
「いやほんとに。男でそんな事言うの珍しいし」
ニヤリ、と笑って臣はまた俺の作った弁当に移る。
何事も無かったような顔で、少しずつ俺の心と体も削っていく。
「…可愛いとか言われても嬉しくないからね！」
「そう？笑うと隆二可愛くね？」
ー臣はかっこいいけどな。かっこいいけどな！大事だから2回言った！
ただそんなこと言えず、俺も弁当を食べ進める。
少しだけ。ほんの少しだけ近付けた気がする。
ーそんな幸せな、午後のひと時。
第2章『近付いた距離』完
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (
レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい！ (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春山さつき | 作成日時：2017年5月15日 11時
