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3.
「以上で、第1学期の終業式を閉式します…」

そんなアナウンスと共に俺は緊張を解き、教室に戻る整った列に続く。
最近はもう藤井さんと目も合わせなくなった俺は、彼女の友達から睨まれるようになっていた。
正直俺が藤井さんをどう思おうが俺の勝手。

「ねぇ、今市くん」
「…なに」

久しぶりに正面から声をかけられて、俺は逃げ道を失い仕方なく答えた。

「ちょっと、話があるの」
「…あんまり時間ないんだけど」
「お願い!ちょっとだけ!すぐ済むから」

藤井さんは何故か俺の手を握って無理矢理引っ張ってどこかに連れて行こうとした。

「やめろ」
「だって!こうしないと今市くん私の話聞いてくれないじゃん!」
「当たり前だろ。話なんかない」

そんな事より早く臣に会いに行きたい。
お前に構ってる暇ないんだよ。
そんな気持ちが顔に出てたのか、藤井さんは一瞬俺を怯えた目で見た。

ただ、次の瞬間にその視線は俺の後ろへと移り、周りのざわめきが何かが起こった事を教えてくれていた。

「あいつ…!」
「何でいんだよ」
「くそ、あいつさえ居なかったら」

みんなの視線の方へ振り向く。
ーその前に。

「わっ」
「…行くぞ」

俺の腕が引かれた。
もちろん俺にこんな事するのなんて1人しかいない。

「臣…っ!?来てたの?」
「いーや?」

「迎えに来た」

まるで王子様のような、そんなセリフ。

「そろそろ隆二の事好きなやつが動くかなと思ってたら案の定」
「藤井さんのこと?」
「わかってんじゃん」

悪戯っ子のような無邪気な笑顔。
俺のことなんて俺以上にわかってるんだ。
つい笑みがこぼれる。
先生達の声なんて雑音にしか聞こえない。

「つーか笑ってんな、馬鹿」
「え、馬鹿?!」

いつもの屋上に連れて来てくれた臣は入って早々に失礼なことを言い出した。

「女ナメたらどうなるかわかんねぇから」
「お、俺が悪いの?!」
「ん。隆二が変な女に絡まれるから悪いの」

ところがどっこい、臣らしくもありらしくもないセリフが飛び出してまた俺の心を乱す。

「隆二もう帰んの?」
「んー、何もないし帰ろうかなって…」
「ふーん」

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 臣隆 , BL   
作品ジャンル:恋愛
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい! (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年5月15日 11時

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