第4章_1 ページ26
1.
あの日から、俺は前よりも藤井さんを避けるようになっていた。
もちろん、何の障害もなく臣に会うために。
「臣!」
「隆二おっせぇよ…俺死ぬかと思った」
「ごめんね、先生に呼び止められちゃったんだ」
臣はあれ以来少しだけ、俺に甘えるような素振りを見せ始めたような気がする。
ー甘えるというか、正直になった?
藤井さんのノートがなぜあんなに臣を不機嫌にさせたのかは相変わらずわからないままで、それでも今は幸せだった。
「何の用事で俺を餓死させようとしたんだよ…」
「うん、臣色々間違ってるそれ」
俺が呼ばれる=臣餓死!
という謎の思考回路はさておき臣は今までと同じように俺の弁当に依存する昼食。
「だって俺、もう学食とかコンビニの飯食えねーもん。隆二の弁当1回食べたらもう無理、戻れない。元々学食そんな美味くないけど」
「学食のおばさん達に謝って…」
とはいいつつ俺も学食はまずそうとしか思えなかった。
臣はそんな俺も見透かしてるような目でいつも笑う。
「だって隆二の弁当美味しい」
「…ありがと」
ー臣。
俺今まで弁当作るのなんて1日の始まりに過ぎなかったんだよ。
それが今じゃ、玉子焼きの中身考えるのが楽しくて。
おかずを考えるのが楽しくて。
野菜足りないかな、とか。
肉ガッツリ食べたいかな、とか。
たまには魚もいいかな、とか。
恋してる女の子みたいに、毎日キッチンに立ってる俺がいる。
「そういえば隆二ってさ、」
「なに?」
俺の弁当を美味しそうに掻き込みながら目線だけをこっちに寄越して臣は。
「俺の事どう思ってんの?」
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい! (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年5月15日 11時