誰も知らない僕らの居場所。2

_2 ページ48

2.
岩ちゃん行方不明から、早くも3日。
肌寒い日が続き、本格的な秋が近付いてきた。

「臣またテスト1位とか…」
「隆二2位だろ？」

久しぶりに朝から学校に行き、テストの結果を見るとやっぱり臣には勝てなかった。
その下にある俺の名前はあと少しで追いつけるけど絶対に追いつけない。

ちなみに、俺が家から逃げ出したあとなんども連絡はあったけれど実際に探してはいなかった。
それもあり、俺は本格的に臣の家に住むことになり荷物はだいたい親がいない時に運んでいた。

「どうでもいい、帰ろ」

臣はテストの結果なんてどうでもいいらしく早く帰ろうと俺を促す。
くいくい、と制服のニットベストを引っ張る臣はカーディガンを萌え袖にして寒がっていた。

ー正直、可愛い。

「臣さぁ…」
「ん」
「そんな寒い？」
「さみい。むり。屋上いく」

ひらがな混じりの喋り方が珍しいけど、その前に屋上の方が寒くない？とお思いだろう。

実は、そうではない。

「ん、行こっか」
「はやく。むり」

屋上に上がって、今は使われていない倉庫に入るとそこには。

「あー、あったけー。幸せ」
「ねぇこれさ…絶対すぐバレると思うんだけど怒られない？」
「大丈夫、誰も来ないから」

こたつ。
簡潔にいうとこたつ。
なぜ？という疑問はこの際無視させていただきます。
臣のわがままが生んだあったかいこたつ。
これが屋上にある。

_2→←_1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す