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臣は俺の手を引いて、一緒に部屋に入ろうとする。
臣の服が並ぶクローゼットから適当に取り出すその姿すら俺にとっては好きだと言えるくらい、もう臣以外は考えられない。
「隆二も、着替えて」
だから辛そうに微笑む臣がどんなことを言っても、俺には拒否権が無い。
別に臣が追い込んだわけじゃ無いのに俺は臣が手渡すTシャツに着替え始めている。
「ん、サイズ同じ」
「そりゃ身長変わらないしね」
臣は俺がいる事をわかってて服を脱いで普通に着替える。
その背中が綺麗で、つい触れたくなる。
夏は少し日に焼けてた肌ももう白くてますます綺麗に見える。
「ん…っ!、隆二?」
「あ、ごめ…っ!」
気付いたら臣の肌に触れていたようで、びっくりした臣が声を出した。
その声で少し痺れるみたいな感覚になったのは無かったことにしたい。
「ごめん、つい…」
「いいよ。大丈夫」
戻ろう、とリビングまで歩く間に敬浩さんの匂いは無くなってた。
同時に、少し気まずい空気が流れてしまう。
臣が敬浩さんに抱きしめられたこと。
俺が臣の肌に触れたことが。
ーこんなに、胸を熱くさせる。
「あ、あのさ臣、俺」
「ごめん隆二」
だんだんわかってきた。
臣が俺の言葉を遮る時は、余裕が無いとき。
「俺そろそろ、我慢できない」
「…え、?」
「敬浩さんに触られてわかった」
ー俺は隆二にしか触れたく無いし、隆二にしか触れられたく無い。
そう言ってちょっとだけ触れた互いの唇を求めて、やがてもっと深いものに変わっていく。
手繰り寄せて絡めた指が固く結びついて離れたくないと我儘を言う。
こうなるともう止められないのはわかっていたし、止めるつもりもなかった。
「悪ぃ俺もう余裕ない」
「隆二なのに、優しくできない」
「…それでもい?」
この先に進めば、もう引き返せない。
でもわかってた。
臣に誘拐された時から、いつかはこうなるんだって。
その覚悟がなかったわけじゃないけど、いざしようと思ってる臣を目の前にして少し戸惑ってしまった。
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おりう - それも楽しみです。 (2017年9月15日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» もうこれからの目標としては直人さんに早くたかのりって呼ばせたいです (2017年9月10日 21時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - たかのりー!平和を願ってます。応援しています。 (2017年9月10日 20時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 平和的解決できるでしょうか…頑張ります (2017年9月7日 7時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 信じてます。二人の幸せも信じてます! (2017年9月7日 6時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年6月1日 20時