誰も知らない僕らの居場所。2

第8章_1 ページ19

1.
「隆二、暑くねぇの？」
「臣こそ寒くないの？」

いつもの屋上でいつものようにお喋り。
季節は秋になった。
まだ少し暑い日はあるけれど、肌寒い日も増えてきた。

そんな俺の制服は長袖シャツに薄手のカーディガン。
臣は長袖のシャツを腕まくりしているだけ。
もちろん、お互いネクタイは相変わらず緩い。

「あ、ねぇ臣。思ってたんだけど」
「なに？」
「ブレスレットは？あのかっこいいやつ」

俺は気付いていた。
初めて会った時にも、それ以降にも少しの間つけていたブレスレットがなくなっている事を。
…なんとなく見たらそうだっただけなんだけども。

「はぁ？！今？！」
「えっ、なんで怒るの？」
「別に怒ってはねぇけど…つか気付けよ…」

臣は少し拗ねてなにもつけてない自分の腕を見た。
まだ不満があるのか何か呟いてる。

「臣？」
「あれ、直人さんからもらったやつ。だから隆二の前でつけたくなかった」

意味を理解できなかった。
なんで直人さんからもらったブレスレットなのに、俺の前でつけたくないの？
オシャレだったのに。
もちろん無くてもかっこいいんだけども。

_1→←_4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す