五人の兄と、紅一点

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最悪、って笑いながら立ち上がって。



翔くんの腕を軽く叩けば。







30歳になったから、って促されて。






こっちこっち、ってステージ中央に呼ばれて。





祝ってくれて有難うっていう感謝と30歳の抱負？になるか分からないけど。





そんな事を軽く話して。



次の話題に行く…ってなった時。






突然イントロが流れ始めて。




はてなマークを浮かべてたら。


それはハッピーバースデーの曲で。






ファンのみんなが歌い始めたのと同時に。




キラキラとペンライトで白く光る客席が、少しだけぼやけ始める。








やば…って思って必死にマイクを握り直して。




この歌声と景色を忘れないように、って瞬きをなるべくしないで、強く焼き付けながらファンのみんなの声を聞いてれば。




そこに加わるメンバーの歌声。





横を見れば、ワゴンに乗ったケーキを押して。




私の前まで持ってきてくれた5人。







チラッ、と翔くんと目が合って。



泣くなよ〜、って少し笑いながらさっきの私みたいに腕を軽くトンとしてきたから。







泣いてないよ〜、って笑いながら言ったけど。





翔くんの言葉で、止まらなくなった。






涙を拭いながら、ロウソクの火を消して。



そのまま後ろを向いた。







潤「大丈夫？」


和也「ごめんねみんなちょっと待っててね〜」





さっきまで大合唱してた客席が、ザワザワし始めたから。




ああ、こんな恥ずかしい後ろ姿映されちゃってるんだろうな。みんなごめんね。って思いながら何度も何度も涙を拭う。







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