僕は妖怪である。

行ってしまった君。 ページ31

しばらく黙って歩いていた。

隣のエンマは相変わらず僕の手をしっかり掴みご機嫌の様だ。

エンマは妖怪だから他の人間には見えない。

まぁ、そこが長所かな…。






？「探しました。エンマ大王様。」


誰？と顔をあげる。

コイツを知ってるっいうことは妖怪…？


するとエンマは僕の手をしっかり掴んだまま僕を後ろにまわした。


エンマ「……ぬらり。」

ぬらり「エンマ大王様。早くお帰りくださいませ。」


エンマ「嫌だ！俺は嫁なんていらない！！」

ぬらり「まだそんな子供みたいな事を申しておるのですか。」

エンマ「どうしてもいるなら自分で決める！」

ぬらり「そう言って何度保留にしてきたんですか！」

エンマ「…俺は…。

…………。こんな所で言えるん訳ねぇだろ(ﾎﾞｿｯ」


ぬらり「……では少し待ちます。

その代わり帰って仕事なさってください。5ヵ月間、人間界に行く事を禁止します。」

エンマ「５ヶ月……」

チラッとエンマは僕を見た。

彼はとても悲しそうな目をしていた。

今僕の顔はどんな顔をしているんだろう。



エンマ「………ぬらり。必ず帰る。だから2人きりにさせてくれ。頼む。」


ぬらり「……絶対ですよ。」

と、ぬらりさんと言う人は消えた。




エンマ「……。」

エンマは黙って僕を強く抱きしめてきた。

『………。』


エンマ「俺…妖魔界に戻らなくちゃならねぇ。」

『…はい。』

エンマ「A。お前に言いたい事がある…。」

『……。はい。』

エンマ「俺……怖い。」

『え？』

エンマ「コレを言ってしまうと。A。遠くなってしまう気がして…。

俺……Aに嫌われたくねぇ。」

『……。』

エンマ「……５ヶ月後。

５ヶ月後必ず会いに行くから。まっててくれるか？

暖かく迎えてくれるか？

また、(ｸﾞｽｯ…一緒に…一緒に…ご飯食べたり…寝てくれるか？(ｸｯ」


エンマは泣いていた。

あんなに強気だったのに。

あんなに冷たい僕を暖かく包んでくれたのに。

今は……スグにでも死んでしまいそうな兎の様だ。



『……分かった。僕……待ってるよ。』


エンマは目を見開いていた。

そしてまた泣き出した。

ゆっくり、ゆっくりと頭を撫でてあげた。







そして、彼は僕の腕の中から消えていった。

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