青くんと赤くん ９*

未熟 ページ30

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少し前まで翔くんの気持ちが俺に向かないのは大野さんがいるからだと思ってた。





それに嫉妬して翔くんに反抗したりもした。





それはただ俺が幼すぎただけだった。





翔くんは大野さんがいるからじゃなくて大野さんだからだったんだ。





大野さんは翔くんに弱さを見せて甘えてるからこそだったんだ。






o｢翔くん、膝枕。｣






s｢眠いの？もうすぐ収録だよ。｣





今だってそう。
楽屋だっていうのにお構い無し。





大野さんは翔くんに絶大な信頼を寄せている。
それは翔くんだって同じ。





あのふたりの阿吽の呼吸には勝てない。





甘えるだけが嫌な翔くんを甘やかして大野さん自身も甘える。




傍から見れば大野さんが甘えてるだけに見えてるかもしれない。
でもそれは違う。





翔くんが隣にいてほしいと望んだ時、そばにいて欲しいと思った時、必ず大野さんは隣にいる。





何を話すわけでもなく、無理に励ますわけでもなく。
ただ、隣にいる。






俺たちが気付かないほど些細なことでさえ大野さんは気づく。
気づいた上で、何もしない時がある。





はじめは俺には理解出来なかった。
好きな人が悩んでいるなら、助けるだろ、と。






大野さんに言ったことがある。
どうしてなんだ、って。






そしたら大野さんは、





｢翔くんが望んでないことはしない。｣




と、はっきり強い瞳でいったんだ。
その時初めて知った。





大野さんの愛の深さと、優しさを。
俺には叶わないと。





だから翔くんは大野さんを選んだんだ。



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