青くんと赤くん ９*

lily flower ページ23

成瀬×翔








s｢成瀬さん…｣






仕事から帰ってきたばかりの成瀬を櫻井が呼んだ。





o｢どうしました？櫻井さん。｣






櫻井は前から成瀬を抱きしめた。






s｢成瀬さんがどこかに行ってしまいそうで、怖いんです。｣





成瀬は図星を突かれた様で、いたたまれなかった。
こんな汚れのない櫻井の隣にほんとにいてもいいのか迷っていたからだ。






だか、それ以上に櫻井を愛していた。






成瀬は恐る恐る櫻井の背中に手を回し抱きしめた。







s｢どこにも行かないで…｣







o｢櫻井さん…貴方は清く美しく強いひとです。｣






s｢嫌です、成瀬さん。｣





櫻井の目から綺麗な涙が流れる。
成瀬は親指で優しく拭う。






o｢櫻井さん、僕はあなたの隣にの隣に居ていい人間じゃない。｣






成瀬はきっと最後になるであろう口づけを櫻井にほどこした。






s｢成瀬さん、それは違います。

僕の隣にいていいのかなんて成瀬さんが決めることじゃない。｣





櫻井の強い瞳が成瀬を見つめる。
成瀬の瞳は大きく開かれた。






s｢僕の隣が誰かを決めるのは成瀬さんでも他人でもなく僕自身です。｣





o｢櫻井さん…｣






櫻井の強い瞳に成瀬の心は揺れる。






s｢僕が隣にいてほしいのは貴方、成瀬さんだけなんです。｣





櫻井は成瀬に口づける。
暖かく、優しくたくさんの愛を持って。




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