青くんと赤くん ９*

カフェ碧 ページ20

s side






店主が気のままに、開くカフェがあると聞いて聞いてきた。





街から少し離れたところにひっそりと佇んでる。
青で塗られた壁にアンティークな雰囲気とマッチしてて素敵なところ。







今日は空いてるのかな？






扉を見ると、openの文字が。






s｢よかった、開いてた…｣






扉を開けると、カランコロンと、愉快な音が迎えてくれる。







o｢いらっしゃいませ。｣






ふわり、と笑う店主さんに、ドキリとした。







s｢こんにちは。｣






o｢こちらへどうぞ。｣





カウンターの真ん中の席を勧めてくれたので言われるがままに座った。






s｢コーヒーと、チーズケーキ１つお願いします。｣







俺がここに来てみたかったのは、チーズケーキが美味しいって聞いたから。







o｢かしこまりました。｣






俺以外誰もいない、評判だって聞いたのにな。






s｢わ、美味しそう！｣






ひとくち食べると、チーズの香りが広がって鼻に抜ける。






s｢おいし…！すんごく美味しいです！｣







o｢ふふ、よかった、すごく美味しそうに食べてくれるから、俺まで幸せになっちゃったや。

ありがとう。｣






トクリ、また心が踊る。
人はこれを恋という。






o｢お客さん、名前は？｣






s｢さくらい、っていいます。｣






o｢じゃなくて、下の名前は？｣






s｢しょう、っていいます。｣








o｢素敵な名前だね、俺は智っていうの。

よろしくね。｣






さとしさん、繕う雰囲気にぴったりの名前。






o｢あ、そうだ、また来てね、サービスするから。｣







s｢はい、また来ます。｣






美味しいチーズケーキと、智さんに会いに。
なんて、恥ずかしくて言えないけど。







o｢それに、また翔くんに会いたい。｣






s｢え、｣






o｢ふふ、ね？｣






今度は意地悪く笑う。
恥ずかしくて顔が赤いのが自分でもわかる。







s｢じゃ、また来ます！｣







それだけ言って慌ただしく出てきてしまった。






それから、俺の恋心が実るのはもう少し先の話。






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