膝を抱えて沈んでゆく ページ27
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酷く荒れ果てた部屋の片隅にある、なんとか形を保ったままのベッドでAは仰向けに寝転がっていた。
天井を眺めるだけで既に十分以上は経過しているが、その瞳はそれ以外にすることが分からないとでも言わんばかりに空を見つめている。
「(アズールたちは、いつからあんな風に・・・)」
次 同じことをしたら縛り付けて三人交代制で監視をすると言われてしまえば、分かりましたと素直に頷く以外の選択肢はない。
束縛と言われてしまえばそこまでだが、Aはこれを彼らなりの愛情だと感じている。−−歪んではいるが。
しかし彼らも出会った時からあそこまで執着心を顕にしている訳ではなく、むしろ純粋にAを好いていた。
「(そう、私が人間に捕まってからだ。あの日からおかしくなったんだ)」
まだAたちが小さな時、人間が人魚を捕獲しに海にやってきた。
奴らが最初に目をつけたのは、当時はグズでノロマなアズールだった。
タコの人魚は一際 目立ち、人間の格好の獲物。
ノロマなアズールはすぐに追いつかれてしまいここまでかと思われたが、そこに頭突きをかまして割って入ったのがAだ。
海中に揺蕩うアッシュグレーに目移りした人間は、鷲掴みにしていた触手を放り投げ、Aの尾びれを掴み、そのまま海上へと向かった。
あの時のアズールの泣き顔は今になっても忘れることは出来ない。
『Aをつれていかないで！』
黒い腕を必死に伸ばしても届かず、アズールの手はただ泡を掴んだだけだった。
『たすけて！ あそこです！』
一部始終を見ていたジェイド、フロイドが大人の人魚を呼んできたことによってAは人間の手から逃れることが出来たが、まさかこの事件が彼らの人格を歪めてしまうことになるとは思ってもいなかった。
少なからず、彼らがおかしくなってしまった要因は自分にあるのではないか−−−Aは頭を抱えた。
「(どうしたら昔みたいに戻ってくれるのかな)」
床に散乱している物の中から写真立てを見つけたAは、それを拾い上げて窓際へと戻す。
そこに映る四人の子供は眩しいほどの笑顔で、挟まれている女の子はとても幸せそうだ。
「どうしたら・・・」
間違いに、気づいてもらえるのだろうか。
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蒼空(プロフ) - あ、バレました？？ww (2020年10月5日 0時) (
レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん？ あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・！ (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2020年9月15日 18時
