油を流した海 ページ19
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薄暗い森の中、頼りになるのは月明かりだけ。
Aは小さくため息を吐いた。
「やっちゃったなぁ。アズールたち、カンカンだろうなぁ」
森はとても入り組んでおり、地形に詳しい者でないと到底 抜け出すことは出来ない。
−−−例えば、狩人だろうか。
事の発端は、「雑用係たちがシャンデリアを直すためにドワーフ鉱山ヘ向かった」と小耳に挟んだことだった。
自分には関係ないと思っていたが、どうもユウのことが気がかりで仕方がなく、自分もついてきてしまったのだ。
「突然 知らないところに連れてこられて、不安に決まってるよね」
とは言っても、夜間の外出など許されるはずがない。
体調が悪いから一人にしてくれと部屋に閉じこもったAは、そのまま鍵を閉め、窓から外へ抜け出したのだ。
翌日からオクタヴィネル寮生の間で、海を綺麗な人魚が泳いでいたと囁かれることも知らずに。
「あ、もしかして、これかな？」
森を抜け、Aが見つけたのは鉱山の入口と見られる大きな岩穴だった。
ヒューヒューと風の通る音がやけに不気味で、無意識にぶるりと肩が震える。
「おーい、誰か、いるー・・・？」
声をかけてみるが、僅かに反響するだけで返事はない。
ゴクリと生唾を飲み込んだAは、「よし」と己に喝を入れて一歩踏み出した−−−その時、鉱山の中から悲鳴が聞こえてきた！
「おわぁぁあ！ って、なんで人がいんだ！？ 危ねぇからどいてくれ！！」
「え、うわぁっ！？」
揺れながら走ってきたくせっ毛の茶髪は止まりきることが出来ず、呆然と立ちすくんでいたAへと転がり込んだ。
幸い男が咄嗟にAの後頭部に手を回したことによって大事には至らなかったが、白い脚に僅かだが擦り傷を負ってしまった。
「わり、説明してる暇ないんだわ！ ちょっと離れてて、くんない・・・？」
「エース、何してるんだゾ！ 早く戦闘態勢に入らないと、あいつが来るんだゾ！」
目元のハートマークが特徴的な男は、Aが探していた“シャンデリアを壊した人たち”の一人、名をエース・トラッポラという。
彼はAを数秒 見つめた後に、「やっと、見つけた」と誰にも聞こえないほど小さな声で呟く。
「おい！ 何してる、早く立て！」
「わ、わーってるよ！」
エースは「離れてろよ」とAに声をかけ、マジカルペンを構えた。
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蒼空(プロフ) - あ、バレました？？ww (2020年10月5日 0時) (
レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん？ あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・！ (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2020年9月15日 18時
