村雨の感情 ページ12
−−−−
−−
「好きです！」
彼はごく普通のハーツラビュルの寮生だったが、たった今、この時をもって勇者と称えられることであろう。
放課後に孤高のマーメイドを中庭に呼び出し想いを伝えるという、これまで誰も成し遂げることの出来なかった偉業をやり遂げてみせたのだ。
「僕と友達になってくれませんか！」
「もちろんいいよ。あなたの名前は？」
たくさんのAファンの気持ちを背負ってここにやって来たからには、お付き合いまで頭を下げるつもりはない。
が、せめて名前は覚えていってほしい。
「僕の名前は・・・」
どすり。彼の顔のすぐ横を何かが通り抜け、あまり聞いたことの無い音がした。
二人がその何かの方を向くと、木の幹に何やら魔法で抉ったような跡が残っていた。
周りは濡れている−−−水魔法か？
「そんな、早すぎる！ 皆に協力してもらってモストロラウンジは大忙しのはず。一人でも店を抜けられるわけ」
「やっぱあんたの仕業？ やけに金魚ちゃんとこのヤツらが多いと思った」
「ふ、フロイド・リーチ・・・」
男はギリリと歯を食いしばる。
勘違いしてはいけないのは、彼はただ告白をしただけで、何一つとして悪いことなどしていない。
まぁ、寮生ぐるみでモストロラウンジをパンクさせてはいるが・・・。
「そこらへんの稚魚ごときがAに近づくなんていい度胸してんなァ」
「フロイド！ 校内での私闘はっ」
「Aは黙ってろ」
Aの必死の制止の声も虚しく、フロイドはマジカルペンを振り上げる。
「フロイドッ！」
Aは今にも寮生に魔法を放ちそうなフロイドの頬を両手で挟み込み、自らと視線を絡み合わせた。
『どこを見てるの? 私から目を離さないで』
途端、フロイドはマジカルペンを振り上げた姿勢のままピタリとまるで時が止まったかのように静止した。
対象の動きを止める、Aのユニーク魔法だ。
瞳は紅く染まっている。
−−−・・・が、フロイドには意識はある。
形のいい歯がギリ、と音を鳴らす。
「いい度胸してんじゃんA！ なぁにが私闘禁止だよ。自分も魔法使っちゃってさぁ！！」
「・・・キミ。ごめん、今日のところは帰って。命が惜しいなら」
寮生は震える膝をなんとか動かしてそそくさと逃げていった。
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蒼空(プロフ) - あ、バレました？？ww (2020年10月5日 0時) (
レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん？ あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・！ (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユナ | 作成日時：2020年9月15日 18時
