【◇】ないものねだりな俺らの恋２

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東条


文化祭の校内公開日、明日の一般公開より一足先に今日一日色んなクラスを見て回る事ができる。


「メイド喫茶気になるよなー。」

「スカート短いといいな！」


そんな会話もチラホラと耳にして、俺も早くAのクラスに行きたいのに準備に追われて身動きが取れずにいた。


「東条君はここでお客さんを驚かせてね。」

「了解。」


今まで準備を手伝えなかった分、こういう所でなるべく協力しないといけないって頭では分かってるのに。

はやる気持ちを抑えられずにいる。


「結構ガチ目で驚かせちゃっていいからね！」

「うん、わかった。」


黒板近くの隠れられる場所から歩いてくる人をひたすら驚かせていく。

本格的に作り込まれていて、クラスのみんなの苦労さや頑張りが目に見えて分かると同時に申し訳なくもあり。


だから手を抜かずに本気で怖がらせているとーー



「きゃああああああああ！！」
「いやーーーーー！！！！！」


聞き覚えのある声、一番聞きたかった声が聞こえて、お化け役の事も忘れて飛び出してしまった。


「きゃあああああ、来ないで！！！！」


そんな俺を見て走り去ろうとするAの手を掴み、被り物を外すとキョトンとした顔をする。

その顔が可愛くて頬が緩んでしまう。


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