友達【茅ヶ崎至】 (ページ20)

今日:8 hit、昨日:21 hit、合計:96,332 hit

順位が過去最低ページ20

·

談話室に近付くにつれていい匂いがしてくる

「凄い…いい匂いするね…」

「腹減ってきたな」

その匂いは談話室を開けた途端、爆発したように一気に広がり

あまりのことに私は思わず、おう…と言ってしまった

それくらい、談話室はいい匂いに包まれている

お腹が鳴りそうだ

談話室に入って1番最初に目にした光景に私は疑問をうかべる

「…茅ヶ崎くん？どうしたの？」

彼は、顔を手でおおってソファに深くもたれかかっていた

私は彼の元まで近寄り、どうしたのかと尋ねる

返事がない代わりに卯木先輩が教えてくれた

「雑魚相手にミス連発して順位が過去最低」

だそうだ

そうか、今日は確かパフェ食べに行った時に言ってた推しイベ最終日だ

「大丈夫？」

「…終わった」

ぼそっと、それだけ呟くと茅ヶ崎くんソファからのそのそと這い上がり、椅子に音もなく座り込む

「至さん、今日は至さんだけ別メニュー作ったんで、元気だしてください」

コトン、と音を立てて茅ヶ崎くんの目の前に置かれたお皿の上には美味しそうなピザが乗っていた

それを見た茅ヶ崎くんは

「……神」

と、嬉しそうに臣くんを見上げていた

彼の隣にお邪魔して、私は椅子に座る

茅ヶ崎くんの正面には卯木先輩

「臣、あまり茅ヶ崎を甘やかすなよ」

「これくらい大丈夫ですよ。好きでやってる事なので」

と、嬉しそうに言いながら臣くんはキッチンに消えていく

机の上にはもう溢れんばかりの料理が乗ったお皿が並べられていた

私はそれを取り分けようとお皿を手にしようとすると

「お客さんなんですから！ここはオレ達に任せてください！」

「A、甘いの好きだったよな」

「これ、臣がA用にって甘く作ってくれたらしいから」

「でも辛いのもめっちゃ美味しいよ！」

「ソース欲しかったら言ってくれ」

皆がいろいろ先に先にとやってくれた

私は、ありがとう、とお礼を言う

すると、みんな嬉しそうな顔で頷いてくれたからまた、嬉しくなる

「…A、嬉しそうだな」

茅ヶ崎くんがわたしの顔を覗き込んで呟く

「私、そんな顔に出てる？」

「うん、分かりやすい」

「…だって、本当に嬉しいんだもん」

「それは良かった」

と満足そうに言って、茅ヶ崎くんはピザをパクッと美味しそうに食べた

·