写真 ページ22
探偵社はせかせかとしています。
「調子はどうだ。国木田。」
「こりゃ駄目だな。業者を呼ばねばならん。」
「そうか。いつものところでいいんだよな?」
「あぁ、頼んだ。」
Aと国木田は友人同士です。皆には知られていませんが、飲み仲間だったりします。基本的に太宰に関する愚痴ですが、たまに二人は自らの将来について話し合ったりしています。
おんなじ仕事を任せられた時はぴったり息が合います。「似たような人間なのだろう」と太宰にからかわれましたが「その通りだ」と二人はおんなじ返しをしました。
「そういえば、今日写真を撮った。」
「写真?」
「ポラロイドで賢治を撮ったんだ。今度国木田も撮ってやる。」
「やめてくれ……。」
Aは鞄の中から先ほど撮った写真を取り出しました。そこに写る宮沢は、笑っています。
「私、人を撮ることが好きなんだ。」
「そうなのか?」
「今日気づいた。人に限らず、生きていれば何でも……。」
「危ない。」
ガタン。
上からダンボールがふってきて、Aに直撃しました。Aは痛みに震えました。
「大丈夫かA。」
「だ、大丈夫だ……。」
「妾の治療が必要かね。」
「いやそれは本当大丈夫だ。」
しばらくしたら痛みがひいてきたので、Aは立ち上がりました。服のほこりをぽんぽんとはたきます。
「あ、すまない。とんでもなくほこりが舞った。」
「窓を全開にしよう。まったくお前は。」
「賢治、そっちの窓を……。」
宮沢は背中を見せたまま、ぴくりとも動きません。
「……。賢治?」
動かなくなった宮沢を不審に思ったAは宮沢の肩を掴みました。こちらを向いた宮沢は、腕を庇っています。
「賢治、君、それ、腕……。」
宮沢の腕は折れていたのです。不気味に可笑しな方向へ曲がっています。
「あぁ、どうして……。一体どうしてそんな……。」
「わかりません。いきなり二つに折れたんです。」
「いきなり二つにって……。」
宮沢は与謝野に医務室につれて行かれました。宮沢の後ろ姿を、Aは震えて見つめています。
「賢治が与謝野にやられる……。」
「仕方がない。それが一番適切なんだ。」
「けれどどうして腕が折れたんだろう。」
「それだよ。」
声の主は乱歩でした。どうやら事件現場から戻ってきたようです。
「それ?」
「だから、それだよ。」
乱歩が指を指したのは、ダンボールの下敷きになっている一枚の写真でした。
「これ……。」
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えころじぃ(プロフ) - すごい好きです!更新楽しみにしてます! (2018年11月28日 21時) (レス) id: f048ef9aab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮沢はしじ | 作成日時:2018年8月21日 19時