入社試験(三) ページ16
一件目がガス会社の爆発でした。
二件目が横浜観光バスでした。可笑しな運転を繰り返していたバスは、電柱にぶつかり横転。横転したバスからガソリンが漏れだし、近くにあった火気に点火。運悪く爆発してしまったのでした。
このバス事件では、運転手は居眠り運転だったのではないかと一部メディアで取り合われましたが、本当のところはわからないようでした。
このバス事件は今回の爆弾魔の事件とは関係ないと思われましたが、バスのサイドミラーに赤文字でメッセージが書かれてあったのです。
爆発のせいで遠くに飛ばされ発見が遅れましたが、無事見つかり、この事件と結びつけられました。
「しかしこのバス、もしあのまま進んでいたら、探偵社の前を通ったんだな。」
「観光名所に武装探偵社も含まれていたようですよ。」
「探偵劇がしたければロンドンへ行けばいいのに……。」
「何でもそのバス会社の社長さんがミステリ好きの人らしく、福沢社長も渋々だったそうです。」
「だろうな……。」
宮沢とAは探偵社のドアを開けました。
「ただいま戻りました。」
「収穫はない。」
「……。誰もいないみたいですね。」
宮沢とAはぽつんとした社内で二人きりでした。みんな昼食に行ったのだろう、と二人は報告書の見直しを始めました。
「賢治。印鑑はどこにあるんだ。」
「印鑑は乱歩さんが……。」
「まったくあの探偵は……。」
ため息をつきながら、Aは乱歩の机の引き出しを開け、印鑑を探しました。
「いいんですか?乱歩さんの机……。」
「いいんだよ。」
周りから見たら、人の机を漁っているという奇妙な光景ですが、乱歩もAの机の中を度々漁るのでこれはこれで"オアイコ"だと思っているのです。
「無いな……。」
小さな引き出しの中を探しましたが印鑑は見当たりません。またまたAはため息をつき、一番下の大きな引き出しを開けました。
「ありましたよ。国木田さんの机の上に……。Aさん?」
いきなり黙り込んだAを不思議に思った宮沢は、乱歩の机の前で座り込んでいるAの元へ足を進めました。
「Aさん?」
「どうして……。」
宮沢はAが見ているもの、引き出しの中に目を向けました。
「どうして江戸川の引き出しの中に私の写真機があるんだ?」
探偵社のドアが開き、太宰と国木田がやって来ます。しかし社内の雰囲気が可笑しいことに気づいた太宰は、ぴたりと足を止めました。
「太宰……。」
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えころじぃ(プロフ) - すごい好きです!更新楽しみにしてます! (2018年11月28日 21時) (レス) id: f048ef9aab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮沢はしじ | 作成日時:2018年8月21日 19時