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入社試験(二) ページ15

そんなことを気にする様子もなく、青年はAに話しかけ続けます。

Aはこのまま知らんぷりを続けようと思いましたが、話を続ける青年の様子に、これではきりがないと思いました。

「君に教える名前はない。」
「そんなことを云わずに教えてくださいよ〜〜。」

青年はしつこいのです。

Aは日に当たりながら、とてつもなく暑いと思いました。そしてここから逃れる打開策を考え、それは名を名乗ることでした。

「A。石川Aだ。」
「Aさんですね。」
「じゃあさよなら。行こう、賢治。」
「わかりました。」

Aは足を進め、その後ろを宮沢がとことことついて行きます。

「Aさん、また会いましょう。」
「二度と会いたくない。」
「また話しかけますから。」
「二度と話しかけるな。」

いらいらとした様子のAは、足早にそこを去りました。

まったく困ったものです。

「爆弾魔の最初の事件は、ガス会社で起こっているらしいな。」
「そうですね。」
「爆弾魔のせいと云うがね、それはガス会社のドジじゃないのか?」
「メッセージが残されてるんですよ。」
「江戸川に任せればいいのに……。」
「乱歩さんは出張ですよ。」

Aはため息を吐き、宮沢はそんなAの腕をひいて歩き出しました。Aは腕を引っ張られ歩く自分を情けなく思ったが、しょうがないのです。

五日前、Aは乱歩に引っ張られ、事件現場に赴きました。そこで、乱歩の超推理を見てしまったのです。

それからAは、こういった事件を任せられる度に、無駄な時間を過ごしていると思ってしまうのです。

江戸川なら一瞬で解決する。

「早く帰ってこい江戸川……。」
「乱歩さんがきいたら喜びますね。」
「絶対に云うなよ。」
「振りですか。」
「振りじゃない。」

死んだと思った自分が生きているし、今ではそんなことも無かったかのように武装探偵社という所で働いている。
全てが夢かとも思ったが、何度も何度も寝たし、何度も何度も目を覚ました。
自分には戸籍がない。最初は云い様のない不安に苛まれた。
でもきっとここが現実なのだ。
そうでなければ説明がつかないし、可笑しい。

「大丈夫……。」
「そうですよ。犯人はきっと捕まえます。」
「……。」
「安心してください。僕がしっかりサポートしますからね。」
「あぁ、ありがとう。」

Aは宮沢に、幾度となく救われてきました。主に精神面を。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 男主 , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
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えころじぃ(プロフ) - すごい好きです!更新楽しみにしてます! (2018年11月28日 21時) (レス) id: f048ef9aab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宮沢はしじ | 作成日時:2018年8月21日 19時

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