夜の街 ページ13
夜の街を歩きながら、江戸川とAは言い合いを続けながら国木田たちの後ろをついて行きます。
「いい加減電車の乗り方くらい覚えたらどうだ。君の付き人は大変なんだぞ。」
「だから案内役をAにって云ってるじゃないか。」
「御免蒙る。私は賢治と組んでるんだ。」
前を歩く賢治がAに「呼びましたか?」と反応したが、Aは「何でもない。」と答えました。
「まったく僕の何が気に入らないんだ。」
「言葉に出来ない……。」
「何だよそれ……。」
二人で話し込んでいるうちに倉庫についた様です。
ガラン。
倉庫の中から大きな物音がきこえましたが、太宰がまた何かのパフォーマンスでもしているんだろうとみんな心配する様子もありません。
「さて。行くか……。」
江戸川の声に従い、みんな足を進めます。勿論Aもです。
江戸川のことは嫌いですが、Aは江戸川のそういうものについては絶対的な信用性があると知っています。
「おい太宰。」
国木田が倉庫へ駆けます。倉庫の中に入ると、太宰の足元に少年が転がっていました。
Aが「あぁついに……。」と云うと、太宰は「違うからね。」と被せるように弁解します。
「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ。」
「そうだな。久々に人の金で酒を飲みたい。」
「A君は勘弁して……。」
夜の影に隠れていた人影が、月明かりに照らされます。
「なンだ。怪我人はなしかい?」
「中々できるようになったじゃないか太宰。まあ僕には及ばないけどね。」
「その人どうするんです?」
「あの少年が虎だったのか……。」
「どうする太宰?一応区の災害指定猛獣だぞ。」
太宰はいつも通りの笑みを浮かべます。Aは嫌そうな顔をしました。
「実はもう決めてある。」
太宰は床で転がる少年を尻目になにかを思っているようですが、Aにはそれが何かわかりませんでした。
太宰がこちらに向き直ったところで、Aも太宰を見ました。
「うちの社員にする。」
Aは太宰の考えに口を出す気はありませんが、隣の国木田は震えています。もうそろそろだろうとAは耳を塞ぎました。
Aの予想通り、国木田は素っ頓狂な声を上げました。
「うるさいよ国木田。」
「す、すみません乱歩さん。」
「耳を塞げばよかったのに。」
「君が塞いでくれればよかったんだ。」
「どうしてわざわざ私がそんなことを……。」
床に転がる少年は国木田が運ぶことになりました。
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えころじぃ(プロフ) - すごい好きです!更新楽しみにしてます! (2018年11月28日 21時) (レス) id: f048ef9aab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮沢はしじ | 作成日時:2018年8月21日 19時