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「………は？」
彼の頼みに真っ先に出たのは自分の物とは思えない程低く地を這うような声だった
貼り付けた笑顔は剥がれ落ち、最早取り繕う余裕さえない
「……流石に頷けない要望だな」
秀 ｢何故？｣
「彼女はソロの頃から真面目に広報をこなしてくれた。彼女が受け持つ仕事の量は多い。今更“降ろせ”と言われても無理がある」
……それに
勝手に彼女を隊に入れて、更に広報から降ろせと言うのはあまりにも勝手すぎる
秀 ｢...…なるほどな、｣
けど何故だろう。
要望を一蹴したのにも関わらず、三輪は表情を変えず動揺の色さえ見せずにこちらを見据え続けている
……無理だと告げたはずなのに
秀 ｢……その原理で行くとあいつはもう広報を降りていい事になるばすですが｣
「……何を言ってる？」
秀 ｢あいつは俺の元に来てくれるまでに引き受けた広報の仕事は全て既に終わらせている。それと。抜ける事で嵐山さんの仕事が増えないようにと予め余剰の仕事もこなしている。
……隊長の俺がAの仕事を把握していないと思いましたか｣
｢っ！｣
煽りにも似た発言にカッとなった瞬間ﾋﾟｷっと音が鳴る。
それは俺を形成する何かに亀裂が入った様だった
やめろ。
やめてくれ。
……これ以上彼女を取り上げるな。
「…彼女の仕事ぶりは当然俺も把握している。だからこそ期待しているんだ。彼女は今後のボーダーの＿＿＿」
秀 ｢その期待がAの身体を壊すとしても？｣
｢…………は？｣
こいつは今何と言った？
広報で彼女が身体を壊す？
そんな訳ない。さすがに量ぐらいは調節して＿＿＿
秀 ｢……先日Aが過労で倒れた。理由はそれだけじゃ無いにしろあいつを追い込むには十分だった。｣
彼女が倒れた
聞いた事も無い事実に口を開ける事しか出来ない
「倒れたなんて聞いた事ないが、」
秀 ｢あいつはまず言わないだろ。余計な心配をかけさせるような発言はしないやつですから｣
＿＿＿＿＿そんなの知ってる
彼女が他人優先なのは俺だって知ってる。
違う、
違う。そこじゃない。
俺が焦っているのは彼女を知らない俺じゃない。
彼女が俺を頼ってくれなかったと言う事実だ。
A。
どうして俺を頼ってくれなかった？
入隊当初はあんなにも色んな事を聞いてくれたのに。
俺を、俺だけを頼ってくれたのに
どうして＿＿＿＿＿＿＿
秀 ｢……随分な執着ですね｣
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作者名：八月蝶 | 作成日時：2023年3月16日 16時
