三輪隊の6人目__SideStory2 (ページ42)

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隊長の足をにモギュと抱きついた幼児は興奮気味に場を凍らせた

『しゅーじ、いい匂いしゅるの。しゅき！』

秀｢っ、……｣

そうして絶望すると共に察してしまった。
彼女は福地Aであると。

自分の匂いを嗅いで“いい匂い”と言いながら幸せそうな顔をする人物を彼はこの世で1人しか知らなかった。

……と言っても普段はもっと間接的に表現してくるが、

だとしても彼女以外の人間が“いい匂い”と言うのは考えられないし、居たとしても嫌悪感で朽ち果てている

超現実主義者の彼はこんな非現実的な出来事を現実として受け入れたくはなかったが、もう認めざるを得なかった。

秀「……はぁ、」

大人しく彼女の前に屈み、小さくなった身体を支えて持ち上げる。

まさかこんな年齢で子守りをする日が来るとは思わなかった

月「……三輪くんの事を覚えている様だけど記憶はそのままなのかしら？」

秀「知らん」

月「ねぇAちゃん。私のこと、分かる？」

一見通常通り行われている様に見えるこの会話。
実はそうでも無い。

月見蓮。怒っている。

普段であれば三輪の恋を応援している彼女だが、自分が土俵に立てるとなれば話は別である。
自分より先に三輪に対して“しゅき！(好き)”と言って嫉妬で狂っていたのだ

『うん！！れんたん！！しゅごくきれい！』

月「はぁぁ…！！かぁわぁいい！！！」

……が、その怒りも一瞬で消え去ったらしい。

普段、姐の様に扱われる彼女は“れんたん”呼びが突き刺さったのだ。

この女、Aを養子に迎えようと言う思考が生まれた

米「んじゃ俺らの事も分かるってか？」

『ん〜、？ぁ、こでりゃ！！』

古「凄いですね正解です！古寺ですよ〜」

米「俺、“ようすけ”分かるか？」

『ようすゅけ、？……ぁ、よねや！！！』

米「あーうんまぁいいや」

記憶の欠陥は多少見受けられれど人の存在自体は忘れていない事に全員揃って安堵した。

＿＿＿＿しかしそれでも懸念はある。

米「…んじゃ奈良坂の事も分かんだろ」

そう問題は超美形・奈良坂透だった。

幼女とはお姫様と言う存在になることを願い、王子様を夢に見る年齢だ。

だからこそ彼女が奈良坂の顔面を見た時に“かっこいい！とーりゅとけっこんしゅる”と言い出さないか4人は心配でたまらなかった。

結婚を切り出そうなら、元の身体に戻った際に屁理屈を並べてリアルに結婚まで持っていこうとするのが奈良坂透と言う男だから