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___8時
「(…うるさ、)」
がやがやといつもより騒がしい学園に苛立ちが募る
朝が苦手な自分は起こされて担がれてまで学園に足を運んでいる。これ以上安眠を妨害されたくない
机に突っ伏して音を遮断する態勢をすれば“やれやれ”と溜息混じりの声が2つ
「ほんとお寝ぼけさんねぇ」
「お前はもうちょっとしゃきっとしろよ〜」
学校に来ているだけ崇めてほしいんだけど、
と、言いたいけど担いでくれたのは紛れもない事実。
寝たフリがてらそっと目をつぶっておく
前髪をピンで留めておでこを出す幼馴染は面倒みの鬼
反論した所でまた何か言われて終わりだ。
「(あーあ。…めんどくさ、)」
転校生なんてどうだっていいから寝かせて欲しい
…が、
その願いが叶えさせてくれないのが目の前の2人なのである
「…あーそういや今日転校生くるんだってな」
「あら、どんな子かしら!たっくさん可愛がってあげたいわぁ♡」
ほら、また転校生って
「なんか今回は女子らしいぞ〜」
「きゃゃん!女の子!!素敵!!」
あーうるさい
微塵も興味無い話題をされ続けるこっちの身にもなってよ
「はぁ…」
「やぁだ溜息なんてつかないでちょうだい」
「うるさい〜」
「そんな事言わないの!…ほら、
____あの子が来てくれるかもしれないわよ」
そうわざとらしく耳打ちする金髪の雄
甘く誘う囁きはさながらお姫様を起こす騎士の様
さすがチームメイトとでも言うべきか
吹き込むのが上手い。
まぁ。
“あの子”と言うワードに反応する俺がちょろすぎるだけか
重い瞼を開けてポケットに入っていたスマホを取り出し、某連絡アプリの中の1番上にピン留めされた連絡先を開く
もう長らく既読の文字さえ付いていないトーク履歴
一方的に送り続けてどれくらい経ったのか。
それでも止められないのはいつかまた彼女に会うことだけを期待して、その為だけに朝から頑張って学校に足を運ぶ程に募った彼女への想い
転校生なんてどうだっていい。
……けど、
それを利用出来るなら利用する。
彼女に会えるなら、なんだって。
ひとしきりの自分の気持ちをスマホに吹き込むと一気に眠気に襲われた
結局今自分が起きていられるのは彼女関係の事だけなんだ
「ちょっと凛月ちゃん!んも〜!!」
「ナッちゃんうるさい」
現実で会えなくても、夢の中なら会えるから
また瞼を閉じて安らかな夢の中へ潜り込む
おはよう、
A
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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月3日 23時