しーくれっと。そのにっ!

お人形さん＿○ ページ14

｢出来たっ…!!｣


放課後の教室、1人息を吐く。


最後の一縫いを終え、やっと完成した。



…米津さん人形。



……………何となく、本当に何となく。

特に作る題材が無かったから、作っただけだから。

もうすぐ完成しそうだったので、学校に持ってきていた。


｢…………………｣


小さな子供を掲げるように人形を持つ。


人形につぶらな瞳で見つめられる。



我ながら、そこそこ可愛く出来たと思う。



…………………………。



｢…あ、玄師。どうしたの?泣いてるの?
しょうがないなぁ…Aがぎゅーってしてあげるっ…!!｣


完成したからか謎にテンションが上がってる俺。


人形を包み込むように抱きしめる。


うむ…中は綿で沢山。


心地良い触り心地…いや、抱き心地だ。


｢A、何してるの?｣


煩いな、今癒されてるところなんだよ。

ほっといてくれ＿＿＿＿



｢A…大丈夫…?｣




｢……え｣



振り返ると、そこにはキョトンとした米津さんの姿。


あら、本人が来たぞ…あああああああ!!


｢い…いいいいいいつから!?｣


動揺を隠せない俺。


｢いつからって…ついさっき｣


｢帰ってたんじゃないんですか!?｣


｢いや…先生に昨日忘れてたプリント出しに行ってた。Aを置いて帰るわけないでしょ｣


Aさんは帰ってほしかったぞ。



｢てかA、僕の名前呼んでなかった?玄師って…｣


ギクリ。



｢い、いいえ!?ほ…ほら、け…検診!!検診行かなくちゃって…｣



｢え、どこか悪いの…!?｣

心配そうに声を荒らげる米津さん。


｢そ、そうじゃなくて…!!あの…定期検診とかあるでしょう?それです。何かあってからじゃ遅いから…あはは……｣



｢そっか。そうだね。

…A、もう一個訊いてもいい?｣



｢何でしょう…｣


米津さんは首を傾げて一言。




｢後ろに隠してる人形…何?｣

お人形さんその2＿○→←敬語＿☆

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